フロンティアコーポ・メディック:So-netブログ
1.臨床研修病院を自由に選択 三重で新制度、来年度から
2.レモンが甘く…味覚狂わす果実の仕組み解明 東大
3.大腸がん、予防に「葉酸」が効果 愛知がんセンター
4.乳がん再発すると 3分の1はタイプが変化
5.慶大、iPS細胞で脊髄損傷治療
6.だまし絵の顔、生後7~8カ月で認識 中大教授ら発見
7.安全な薬を子どもたちに 小児治験ネットが始動 適応外使用解消目指す
8.虐待経験、うつ病を深刻化
9.一家団らんの食事、若者の健康と幸福感を高める
10.高齢出産に上限は必要か?61歳の妊娠で論争、ブラジル
11.血糖値の低下、ダイエットの意志を削ぐ 米研究
12.【厚労省】ガドリニウム造影剤で注意喚起
13.救急受入と「入院制限」という矛盾に直面
14.10の質問、中医協診療側委員の答えは?
15.「受診時定額負担、断固反対」、十四大都市医師会連絡協議会
16.「早大医学部新設」報道に懸念 茨城県の医学部誘致に県医師会が反対表明
17.脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈疾患の管理で最近注目の疾患概念とは?
18.ベネット服用後は散歩が必須?
19.アスピリン以外のNSAIDsの日常的な使用は腎細胞癌リスクを高める
20.重度市中肺炎におけるtifacoginと死亡率
21.大動脈二尖弁患者の大動脈解離発生率は、一般住民に比べて有意に高率
22.米国18歳未満対象の段階的運転免許制度、死亡事故抑制には機能しておらず
23.Adding Novartis's Afinitor to Pfizer Drug Extends Cancer Patients' Lives
24.Asthma tied to poorer diabetes control in kids
25.Childless Men May Face Higher Heart Disease Risk
26.Lots of Coffee Might Lower Depression Risk: Study
27.Could Too Little Vitamin B-12 Shrink the Aging Brain?
28.Cardiac Rehab May Help Heart Patients Live Longer
29.More Frequent Doctor Visits May Benefit Diabetes Patients
30.Certain Antidepressants With Blood Thinners May Pose Risk for Heart Patients
31.Broccoli, Cabbage, Other Veggies May Protect Against Colon Cancer
32.JMM:福島県立医大の放射線医療拠点化構想を問う~事業仕分け人の視点から~
33.iPadアプリに東京女子医大の医師20人が制作協力したスライド一挙500点登場
34.プレスリリース
1) Imaging of traumatic brain injury patients swifter and safer with new technology at NIH
2) NIH-funded study connects gene variant to response to asthma drugs
3) FDAがVerax血小板PGD検査を血小板輸血の「安全対策」として承認
4) ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ(R)」日本において関節リウマチにおける関節の構造的損傷の防止に関する効能・効果を追加申請
5) Avastinとpemetrexedの併用は肺がん患者さんの無増悪生存期間を統計学的に有意に延長する
6) 抗悪性腫瘍剤「アバスチン®」「手術不能又は再発乳癌」に対する効能・効果、用法・用量の追加承認取得
35.Other Topics
1) アマゾン、仙台にコールセンター 1000人雇用で復興支援
2) ダイエットに失敗する人を減らすため 今後、成功に導くソリューションを強化
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1.臨床研修病院を自由に選択 三重で新制度、来年度から
共同通信社2011年9月27日
三重県内42の臨床研修病院や県医師会などでつくるNPO法人「MMC卒後臨床研修センター」(津市)が来年度以降、主に臨床研修の2年目について、研修医が提携関係にある県内18の指定病院から研修先を自由に選べる新たな制度を導入することが27日、分かった。
対象者は来年度に研修が始まる100人程度の見込み。希望する病院での研修を可能にし、医師の県外流出を防ぐのが狙い。厚生労働省によると、県内の大半が県立病院の岩手県で同様の制度が本年度から導入されているが、大学病院や民間病院など運営母体が異なる医療機関同士で提携する試みは全国初という。
2.レモンが甘く…味覚狂わす果実の仕組み解明 東大
日本経済新聞社2011年9月27日
東京大の三坂巧准教授らは、西アフリカ原産の特定の果実を食べると、レモンなどの酸っぱい食べ物を口に入れても甘く感じる仕組みを解明した。果実に含まれるたんぱく質が舌で甘味を感じる受容体にくっついて甘みだけを伝える。酸っぱい食べ物でも甘く感じる人工甘味料が開発でき、生活習慣病の予防につながる。
成果は27日に米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載された。
味覚を狂わせるのは、「ミラクルフルーツ」という果実。果実自体は無味だが、食べた後にレモンなどを食べると非常に甘く感じる。詳しい仕組みは不明だった。
三坂准教授らは、甘味を感じる受容体を実験用の細胞の表面に作り、ミラクルフルーツに含まれるたんぱく質のミラクリンを入れた。ミラクリンが受容体に直接くっつき、酸っぱい酸性の成分が加わると、たんぱく質が活発に働いて甘みだけを感じるようになっていた。
これまでの人工甘味料は、甘味以外を感じる受容体にも作用し、苦みなどを伴うことが多い。ミラクリンの甘味はおいしいとみられ、「ミラクリンをうまく使えば、糖分がなくても甘く感じる材料づくりにつながる」(三坂准教授)という。
3.大腸がん、予防に「葉酸」が効果 愛知がんセンター
朝日新聞社2011年9月27日
酸摂取量と大腸がんリスク
ホウレンソウ、春菊、小松菜、レバーなどに含まれる「葉酸」を多くとって飲酒しない人ほど、大腸がんになりにくい――。そんな調査結果を、愛知県がんセンター研究所の研究チームがまとめた。
葉酸は、緑色野菜や肝臓に含まれるビタミンBの一種。欧米人対象の研究で大腸がん予防効果が知られていた。日本人に同じ効果があるか、同研究所の疫学・予防部が検証した。
がんセンターを受診した4974人に、書き込み式で質問した。内訳は大腸がん患者が829人、がんではない人が4145人だった。ふだんの食事を詳しく尋ね、回答から個人の1日あたり葉酸摂取量を推定。摂取量が少ない人から多い人までをほぼ同じ人数で4グループに分け、各グループのがん患者の割合などを分析した。
この結果、摂取が最も少なかったグループにおける大腸がんのなりやすさ(リスク)を指数で1とした場合、摂取が最も多いグループの大腸がんリスクは0.72になった。
4.乳がん再発すると 3分の1はタイプが変化
朝日新聞社2011年9月27日
乳がん患者の3人に1人は、最初に診断された時と再発後では、がんのタイプが変化していることがわかった。がん組織を調べる検査は通常、診断時にしか行われず、再発後に「効かない」治療を受けている患者が相当数いる可能性が出てきた。同様の変化は、他のがんでも起きる可能性があるという。
スウェーデンのカロリンスカ研究所が26日、欧州集学的がん学会で発表した。
乳がんには、女性ホルモン陽性でホルモン療法が効くタイプと、女性ホルモン陰性で抗がん剤のハーセプチンが効くタイプ、いずれも効かないタイプがある。
5.慶大、iPS細胞で脊髄損傷治療
日本経済新聞社2011年9月27日
慶応大学の岡野栄之教授らはヒトの新型万能細胞(iPS細胞)から作った細胞を、脊髄が損傷したマウスに移植しても、安全性に問題がないことを確認した。移植してから4カ月後でも、がん化などの副作用は見られなかった。成果は27日、米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。
ヒトの細胞を移植しても免疫反応が起きないようにしたマウスの脊髄損傷部位に、皮膚から作ったiPS細胞を神経幹細胞に育て移植した。約1カ月後には歩くようになり、4カ月後でもがん化などは起きなかった。
マウスを調べたところ、ヒト由来の神経とマウス神経がつながり、脳からの電気刺激が伝わっていた。またヒト由来の細胞は3種類の神経にも育ち、脊髄の正常な働きを促していた。岡野教授は「がん化のリスクの低い安全なiPS細胞を用い、サルなど霊長類での研究を進め、5年後にはヒトで臨床研究を始めたい」としている。
6.だまし絵の顔、生後7~8カ月で認識 中大教授ら発見
日本経済新聞社2011年9月27日
16世紀イタリアの画家・アルチンボルドが描いただまし絵で実験した
中央大学と自然科学研究機構の研究グループは、生後7~8カ月の乳児がだまし絵に描かれた顔を認識することを発見した。顔を認知する脳の機能は、生後7~8カ月間で成熟している可能性を示す成果。オランダの科学誌ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・チャイルド・サイコロジー(電子版)に掲載された。
だまし絵は16世紀のイタリア人画家が描いた絵画で、野菜や果物を組み合わせて人の顔が描いてある。上下を逆さまにすると顔に見えず、ただの野菜や果物の絵に見える。生後7~8カ月の乳児24人に、だまし絵を正しい向きと逆向きに見せたところ、うち21人が正しい向きのだまし絵を長い時間見ていた。
さらに乳児の脳内にある毛細血管のヘモグロビンの量を近赤外線で測ったところ、正しい向きのだまし絵を見ている時間だけ、左脳の側頭部を流れる血中のヘモグロビンの量が増えた。このため、生後7~8カ月の乳児がだまし絵の顔を認識していると分析した。文部科学省の科学研究費補助金の助成を受けた研究成果。
7.安全な薬を子どもたちに 小児治験ネットが始動 適応外使用解消目指す
共同通信社2011年9月27日
子どもの治療に必要な薬なのに、添付文書には子どもに対する用法や用量の記載がない―。国内の小児医療の現場では、こうした薬の「適応外使用」が日常化し、処方薬全体の実に7割程度を占めている。主な原因は、開発段階で行われる臨床試験(治験)の多くが大人だけを対象とし、子どもでの効果や安全性のデータが収集されないまま国の承認を取得していることにある。
こんな現状を打開し、より有効で安全な薬を子どもたちに届けようと、小児医療に携わる27の医療機関が「小児治験ネットワーク 」を設立した。
▽用法示さず
やや古いデータだが、厚生省研究班(当時)が1999年度にまとめた国立大病院など5施設を対象にした実態調査によると、18歳未満の患者に処方した医薬品のうち、添付文書に小児への用法・用量が明示されていた薬はわずか23・4%。残る76・6%は「小児に対する安全性は確立していない」などの断り書きを付けたものや、全く記述のないものだった。
こうした状況は10年以上がたった今も大きく変わっておらず、子どもに関しては未承認状態の薬が数多く使われている。「用法・用量が明らかな薬だけで子どもを治療するのは不可能だ」と小児医療関係者は話す。
だが、適応外使用はさまざまな問題をはらむ。第一に安全性や有効性は必ずしも十分に評価されていない。また、原則としては医療保険が適用されず、患者の全額負担もありうる。万が一、副作用で健康被害が生じた場合、国の救済制度の対象外になる可能性もある。
▽錠剤を粉砕
さらに「剤形変更」も問題だ。もとは大人用に開発された薬。錠剤やカプセル剤など、小さな子どもがうまく飲めないタイプのものが多い。すると何が行われるか。
「やむを得ず、錠剤を割ったり、乳鉢と乳棒を使ってつぶしたり、カプセル剤の中身を取り出したりする。ミキサーで粉砕して大量に作り置きすることもある」と小児専門病院の薬剤師は話す。
しかし、剤形を変えると有効成分の均一性や安定性、効果が損なわれる恐れがある。また、投与量などは医師の経験頼みで、施設によってばらつきが生じることも。医療現場は子どもに合った剤形の開発と、用法・用量の明示を切望している。
製薬企業が子どもを対象にした治験に消極的なのは、患者数が少なく被験者を集めにくいこと、用量も少なく開発コストに見合った利益が得にくいことなど、採算性の問題が大きいとみられる。
▽窓口一元化
小児治験の受け皿となるべく、昨年、小児専門病院で組織する日本小児総合医療施設協議会 を母体として小児治験ネットワークが発足した。
事務局が置かれた国立成育医療研究センター によると、最大の特徴は加盟27施設が一体となって製薬企業からの治験の依頼を受託する点だ。
窓口の一元化と施設間の情報共有により、治験の質やスピードをアップするとともに、施設調査や治験の進捗管理といった企業側の負担軽減を図り、開発コストの削減につなげる。企業が小児の治験に踏み出しやすい環境をつくる。
事務局は現在、治験実施に必要な手順書や各種手続きの統一化などを急いでおり、年内には一定の体制を整えたい考え。
NPO法人「難病のこども支援全国ネットワーク」の小林信秋専務理事は「子どもの病気は希少疾患も多く、薬の開発や認可が遅れている。治験を活性化する動きは大歓迎だ」と期待を寄せている。
8.虐待経験、うつ病を深刻化
共同通信社2011年9月27日
幼児期に虐待された経験を持つうつ病患者は、症状が長期化したり、複雑化したりする傾向が2倍に増えるとの研究結果を、英ロンドン大キングスカレッジ精神医学研究所が発表した。
約2万3千人の疫学調査と約3千人を対象にした臨床試験で、児童虐待を受けた患者の治療結果などを分析。その結果、虐待経験がある患者は、そうでない患者に比べて治療への反応が鈍く、うつ病の再発や長期化につながる高いリスクがあることが分かったという。
虐待を受けた子どもの10人に1人がうつ病とされ、同研究所のアンドレア医師は「重いうつ病による健康悪化を防ぐためにも、児童虐待の早期予防や介入がとても大切だ」と話している。
9.一家団らんの食事、若者の健康と幸福感を高める
AFPBB News2011年9月27日
米コロンビア大学(Columbia University)全米薬物常習乱用センター(National Center on Addiction and Substance Abuse)は前週、家族で一緒に食事をとる習慣が十代の若者の健康に及ぼす影響について報告書を発表した。
研究はティーンエイジ(13~19歳)の約1000人を対象に実施。58%が週5回以上、家族と食事をとっていた。専門家によるとこの数字は、長年横ばいだという。
報告書によると、家族と週5~7回食事をとる若者は、アルコールやたばこ、マリフアナを使用する可能性が、家族と週3回未満しかとらない若者に比べて約4分の1だった。
また、英国で最近行われた広範な調査では、家族で食事をとることが子どもの幸福感にとって重要な要素であることが明らかになった。研究によると、週3回以上家族と食事をとった子どもは、幸福度が高かったという。
ほかにも子ども時代の幸福感を高める方法はある。子どもと一緒に過ごすことだ。「子どもたちはビデオゲームやテレビを見て時間を過ごしたがっているという通念に反して、親やきょうだいと接しているときに最も幸せを感じていることがわかった」と、英エセックス大学(University of Essex)のマリス・ヤコブ(Maris Iacovou)氏は語る。
米医師向け情報サイト「WebMD」は、友人よりも家族を優先し、子どもの課外活動を制限して家で一緒に過ごす時間を増やし、家族で一緒に活動することを推奨している。また、家では子どもの前で口論しないようにして、穏やかな環境をつくることが大事だと専門家は話している。
10.高齢出産に上限は必要か?61歳の妊娠で論争、ブラジル
AFPBB News2011年9月26日
ブラジルで、61歳の女性の妊娠を機に、高齢出産の上限年齢をめぐる論争が広がっている。
日刊紙オ・グロボ(O Globo)によると、既に閉経を迎えていたこの女性は、38歳の男性と結婚。夫婦ともに子どもを望んだことから、卵子提供を受けて初めての子を妊娠し、11月に出産予定だという。妊娠前の健康診断の結果は非常に良好だったという。生まれてくる娘には、卵子提供による出産だったことは明かさないつもりだそうだ。
ブラジルにおける高齢女性の出産は、これが初めてではない。最近では9月9日に、夫が88歳という52歳の女性が、初産で双子を出産している。
だが、ブラジルの医療関係者らは、昨今の高齢出産ブームに懸念を示す。高齢での妊娠・出産は、母体への負担が大きく悪影響を及ぼす恐れがあるからだ。
現在のところ、人工授精に年齢制限はないが、母親もしくは胎児に深刻なリスクが懸念される場合には、医師は人工授精を行わないことが暗黙の了解となっている。
11.血糖値の低下、ダイエットの意志を削ぐ 米研究
AFPBB News2011年9月26日
血糖値がわずかに下がっただけで、高脂肪、高カロリーのおやつが食べたくなるだけでなく、それらを食べるのを我慢するための自制心も弱まるとの研究が、米医学誌「Journal of Clinical Investigation」に発表された。
研究を発表したのは米・南カリフォルニア大(University of South California)の研究者。研究では、血糖値が下がったときに、特に肥満の人が欲望を抑制するのが困難になることが分かった。
「肥満の人は、特に血糖値が通常値以下になったときに、食欲を抑える能力が低いのかもしれない」と、研究者のキャスリーン・ページ(Kathleen Page)氏は声明で述べた。
研究チームは、アイスクリームやハンバーガーなどの高カロリー食品や、サラダといった低カロリー食品、それに椅子や照明器具など食品以外の物のそれぞれの画像を眺めたときの脳の状態をスキャンした。また、被験者の血糖値を点滴で操作した。研究には、肥満の人5人、通常の体重の人9人の計14人が参加した。
血糖値が低下すると行動を促す脳の領域が活性化した一方で、強い欲求を抑制する領域の活動は抑制された。
興味深いことに、平均体重の被験者では、血糖値が戻るとすぐに脳の活動は通常に戻った。だが、肥満の被験者ではそうならず、低血糖時だけでなく通常血糖のときも、強い欲求の制御をつかさどる「前頭前皮質」の活動が抑制された。
これまでの研究で、ジャンクフードはドーパミン受容体に信号を送り、ジャンクフードを食べることが最優先になるように行動を変えるという、中毒性の高い薬物と似た作用を脳に及ぼす可能性があることがわかっている。
専門家らによると、ジャンクフードを食べたいという欲望を抑えるための1つの方策は、長時間食事をとらない状態を避け、ジャンクフードを食べるときには一食当たりの量に注意することだという。
12.【厚労省】ガドリニウム造影剤で注意喚起
薬事日報社2011年9月27日
厚生労働省は、ガドリニウムを含有するMRI用造影剤全般の使用上の注意について、警告欄に「腎性全身性線維症」を加えると共に、重要な基本的注意で「遅発性のショック、アナフィラキシー様症状」の副作用リスクを喚起する改訂を、メーカーに指示した。
ガドジアミド水和物(製品:第一三共のオムニスキャン)、ガドペンテト酸ジメグルミン(バイエル薬品のマグネビスト)の直近3年間の副作用報告で、腎性全身性線維症が各7例、遅発性のショック・アナフィラキシー様症状がオムニスキャンで1例、マグネビストで2例集積され、因果関係が否定できない症例も含まれていたため、注意喚起を決めた。腎性全身性線維症は、欧米の対応状況も踏まえて判断した。
両剤については、原則禁忌としていた「重篤な腎障害のある患者」を禁忌に移し、慎重投与に「腎障害のある患者又は腎機能が低下しているおそれのある患者」を加えるなどの改訂も行う。
類薬の▽ガドキセト酸ナトリウム(バイエル薬品のEOB・プリモビスト)▽ガドテリドール(ブラッコ・エーザイのプロハンス)▽ガドテル酸メグルミン(ゲルベ・ジャパンのマグネスコープ)――は、慎重投与を「重篤な腎障害のある患者」から、「腎障害のある患者又は腎機能が低下しているおそれのある患者」に広げる。プロハンスでは、因果関係が否定できない副作用症例はないものの、腎性全身性線維症、遅発性のショック・アナフィラキシー様症状がそれぞれ1例報告されている。
このほか厚労省は、抗てんかん薬のカルバマゼピン(ノバルティスファーマのテグレトール)について、文献報告を踏まえ、日本人の遺伝子多型のうち、HLA―A3101保有と重症薬疹発症との関連性が示唆されることを、添付文書に記載することなどもメーカーに指示した。
13.救急受入と「入院制限」という矛盾に直面
南相馬市立総合病院院長・金澤幸夫氏に聞く◆Vol.3
医師確保と地域医療の再構築が課題
日経メディカル2011年9月27日
脊柱側弯症と軍事
――入院患者の受け入れ制限解除を求め、かなり働きかけを行った。
4月以降、徐々に救急車で搬送される患者さんが増えたものの、入院患者は置けず、相馬市、福島市などに域外搬送していました。
相双地区の医療機関で脳神経外科があったのは、当院のみ。県に要望し、5月16日から、脳神経外科だけ、5床72時間という限定で入院患者の受け入れが認められました。救急車による搬送件数は、4月は18件、入院が必要なケース7件は域外に搬送。5月は44件、うち域外搬送は10件、当院への入院は4件という状況です。
しかし、72時間を過ぎると、患者さんを30km圏外に搬送しなければならず、患者さんの不利益は大きい。
そこで、その後も県と交渉を重ね、6月20日付で約70人の受け入れが、「短期入院」という形で可能になっています。私たちは120人程度を希望したのですが、その時の職員数で対応可能と判断された数が70人でした。この「短期」の定義は、医師に任されています。
――医師は何人いたのでしょうか。
4月末までに、震災当時14人いた常勤医は4人に減っていました。もともと3月末で交替予定だった医師のほか、子供が小さい医師などが避難した。ただ、その後、2人が新たに入り、計6人。さらに、今は避難していた医師が1人戻り、7人体制です。なお、震災前、医事などの派遣の職員を除いた正職員は約230人、今は約150人です。
――現在の診療の状況は。
外来は1日当たり120、130人です。震災前は350人くらいでした。
また住民が戻るにつれ、救急搬送も増え、8月は27日までで69件、うち域外搬送2件、40人が当院に入院しています。それ以外に、外来から入院になる患者さんも増え、今は70人強が日々入院している状況です。ただ小児科については、外来のみです。「緊急時避難準備区域」が解除になったら、入院も開始する予定です。
――現在、南相馬市は人口が減ったものの、約4万人にまで戻っています。人口に見合った医療提供体制になっているのでしょうか。
震災前、南相馬市には、一般・療養病床を持つ病院は6施設、計891床ありました。そのうち、南相馬市立小高病院は第一原発から「警戒区域」で入れない20km圏内、一方、鹿島厚生病院は30km圏外です。したがって、20~30 km圏内にあるのは当院も含め4カ所。
当院は70床認められたほか、渡辺病院が55床(震災前は175床)、大町病院が50床(同一般104床、療養74床)、小野田病院(同一般98床、療養101床)は30床受け入れが可能になっています。しかし、職員数の不足から、この数の受け入れは難しいようです。当院では今後、100床まで可能にする予定です。
救急ですが、当院では震災前、年間800~900台くらい救急車の搬送を受け入れていた。双葉郡の救急車の半分は、当院に来ていたことになります。一方、この8月は27日までで69台。これを年換算すると震災前のペースに相当します。先ほどもお話しましたが、「相双地区」の約18.5万人の人口は、今、半分、8万から9万人くらいまで減っていますが、当院の救急車の搬送件数は減っていない。周辺の医療機関の受け入れ能力が低下しているからでしょう。
今後の問題は二つあります。一つは、医療圏の人口が半分になった現状で、これだけ病院が必要かということ。隣の相馬市にある2病院も含めると、一般・療養病床は1000床を超えていました。今後、医療ニーズを踏まえて、医療のあり方を検討していく必要があります。また、各病院にとっては、医師や看護師をはじめ、スタッフが確保できるか、また経営的なことも大きい。
この地域の病院は、震災後、入院患者を受けることができない時期が続きました。当院でも震災直後は、毎月約1億円の赤字だった。診療材料などは使いませんが、職員の給与を支払い、建物を維持する費用などがかかります。その後、徐々に赤字幅は減りましたが、手持ちの資金は約5億円なので、それを取り崩している状況です。
――震災前、1カ月の医業収益、収支はどのくらいだったのでしょうか。
1カ月当たり約2億円です。
――運転資金があったので運営は可能ですが、そうでないところは経営が厳しい。
そうだと思います。中医協委員の方々が当院に視察に来た際(注:8月1日から3日にかけて、中医協委員が被災地を視察。『被災地の実情踏まえた診療報酬、中医協で議論』を参照)、この地域の医療関係者が集まりましたが、「被災地特区」にして、診療報酬の単価を2倍に、あるいは「危険加算」を出すなど、何らかの形で収益が上がるようにしてほしいという要望や、資金の低利融資を求める声などが挙がりました。
――この地域に、今後、どの程度、住民が戻ってくるか、地域をどう再生するか、その辺りも見極めながら、今後の医療提供体制を考えていく必要があります。
その通りです。小中学生も徐々に戻ってきています。南相馬市には小中学生が計約6000人いたのですが、震災直後は約2000人がここに残り、約2000人が南相馬市以外の福島県内、約2000人が福島県外という状況でした。今は南相馬市の小中学生は約3000人に回復しています。
人口が減っている中で、経営が成り立つ状態で、なおかつ市民に迷惑をかけない形で医療を提供する体制を整えるのは、難しい問題です。
――先生ご自身は、この病院を今後、どのように運営されていくお考えでしょうか。今の診療規模で、医師7人体制というのは。
医師は足りないですね。「被災地健康支援連絡協議会」(『被災地医療支援の要請・提供マッチングシステム運用開始』を参照)から、来週月曜日(編集部注:9月5日)から九州地区の消化器科の先生、また9月20日から東京慈恵医大の麻酔科の先生が来る予定です。
先日8月23日に、「南相馬市地域医療在り方検討委員会」の2011年度の第1回会議がありました。その場でも出たのですが、当院に求められているのは、やはり救急医療。その体制確立のために、スタッフを確保したい。救急医療から手術につながるケースも多いので、麻酔科医のほか、救急患者の半分は脳神経外科の患者さんなので、脳神経外科の常勤医がもう一人ほしい。そのほか、整形外科、泌尿器科、内科などの医師も必要。産婦人科の先生は、妊婦さんを置けないので、今は他の病院で働いていますが、そのうち外来を、来年4月からはお産も始めると思います。
――医師の確保は、容易ではない。
震災前から、相双地区は医師不足でした。まず交通の便が悪い。常磐線が走っている時でも、東京まで3時間40分かかった。私は福島市まで車で行き、そこから新幹線に乗っています。それから医師の子供の教育。福島県内の医師の多くは、福島市か郡山市で働きたいと考えます。また、臨床研修病院の基幹病院として指定を受けるには、ある程度の規模が必要ですが、相双地区にはそうした病院がない。
これら三つのネックがあった上に、さらに原発問題が加わり、以前よりも医師の確保が難しくなった。
――そのほかの職員は。
看護師は今、100人くらいいます。本当に多くの職員が残ってくれています。ただ、群馬県、新潟県、山形県などに子供を避難させて、働いてくれている看護師さんもいます。小中学校が再開すれば、子供たちも戻れると思いますが。また、入院患者が100人を超えてくると、看護師ももっと増やさなければなりません。
――今は後方の受け入れ施設もないため、平均在院日数も長期化する。
その通りです。介護施設がないと、治療が終わっても家に帰れない人が退院できません。震災前、平均在院日数は約15、16日でしたが、小児科の入院は受け入れておらず、後方施設もないので、長くなっていると思います。
――そのほか、県、あるいは国などへの要望は。
やはり救急体制の整備への支援です。それに尽きると思います。がんの患者さんなどは、待てますから。当面は救急、それと手術。徐々にその幅を広げていき、元の診療体制に戻していきたいと考えています。
14.10の質問、中医協診療側委員の答えは?
参議院議員・梅村氏主催のフォーラム、5人全員参加し議論
M3 2011年9月27日
「医療界には奇妙な安心感があるが、前回の2010年度診療報酬改定で当初マイナス3%を主張したのは、当時の野田財務大臣。野田氏は、基本的に財務省の"公認候補"だ。『診療報酬の引き下げは基本的にない』と言っているのは、社会保障費の自然増の2200億円削減を基本的に実施しないという意味。今後、厳しい道筋があることを覚悟しなければいけない」
9月23日の「医療フォーラム IN 大阪」で、警鐘を鳴らしたのは、中医協委員で、京都府医師会副会長の安達秀樹氏。同フォーラムは、梅村聡参議院議員の主催で、中医協の診療側の医師委員5人全員が出席、2012年度診療報酬改定などについて講演、参加者からの「10の質問」に回答した。2010年度改定後の記者会見以外、5人全員がそろい、講演するのは初めて。
日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、「前回改定では、医療崩壊が一番指摘されていた大学病院を中心とした急性期の大病院への手当てができた。日医は2012年度の同時全面改定の延期を求めているが、必要な部分は見直すべきであり、前回改定で光が当たらなかった部分、つまり診療所と中小病院を手当てすべき」との見方を示した。
「次期改定の柱は四つになる」との見通しを示したのは、全日本病院協会会長の西澤寛俊氏。西澤氏が挙げたのは、(1)2010年度改定で答申する際に、今後の課題として挙げた16項目、(2)介護報酬との同時改定、(3)社会保障と税一体改革成案で出された方針、(4)東日本大震災への対応――だ。
国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏は、大学病院は高度医療や不採算医療などを手がけている上、医師の人件費は大学の教官として支給されているなどの構造的な問題があると指摘。「労働対価に見合った、診療報酬を設定することが重要。医療費で健全な病院が運営できるようにしないと、きちんとした医療はできない」(嘉山氏)。
10月26日で、3期6年の中医協委員の任期を終える、全国公私病院連盟副会長の邉見公雄氏は、診療報酬関連でやり残した課題として、(1)技術とモノの分離、(2)地域特性の評価、(3)薬価高止まりの是正、の3点を挙げた。地域特性については、前回改定で引き下げとなった、15対1入院基本料を元の点数に戻すほか、正看比率見直しの必要性を指摘。「15対1の病院が救急医療を担っている地域も多い。しかし、地方では看護職員の採用が難しく、15対1の病院が救急を返上すれば、その地域に人は住めなくなる」(邉見氏)。
10の質問に対する委員の答えは、以下の通り(主な回答を抜粋)。
1.東日本大震災被災地における医療機関への診療報酬の特例加算
鈴木氏:「特例加算」の以前に、診療の継続が困難になっている現状で、迅速な対応が求められ、まず補助金や補償金で手当てすることが必要。また診療報酬の算定要件緩和も既に行われているが、これは被災地への「特例加算」と同じ意味を持つ。新たに「特例加算」を設けることは、改定財源がないとできないが、必要になれば検討していく。
安達氏:「特例加算」を設けるのであれば、患者負担増にならない形にすることが重要。また、「特例加算」を設ける際には一定のルールを作る必要があるが、様々な点を網羅してルールを作ることができるか。また状況が時間の経過とともに変わっていくため、改定後も随時見直していくことが求められる。もっとも、「特例加算」があっても、患者が来なければ、医療機関の収入にはならない。まずは補助金での対応が必要。
2.医療材料費と薬剤費
嘉山氏:技術とモノは分けて評価すべき。また今はいい材料を使っていても、報酬は同じであり、本当にいいものを使っているのか、国民には分からない。明細書に、例えば、眼内レンズの材料費を記載する。それにより、モノの価格が分かるとともに、技術料が低いことを理解してもらえるようになる。国民の理解を得ながら、評価を行っていく必要がある。また薬については、DPCでは、高額な薬の中には出来高にした方がいいものがある。薬の問題は非常に大きな問題であり、薬業界を発展させて、国際競争力を付けていくことも考えていかなければいけない。
安達氏:薬価の算定方式は問題。リウマトレックスは、類似薬効方式でメソトレキセートよりも高い薬価が付いた(ともに、一般名はメトトレキサート。2000年に、メトトレキセートの薬価は50.6円だったが、リウマトレックスには431.5円の薬価が付いた)。これにより、リウマトレックスの後発医薬品の薬価は、メソトレキセートよりも高くなっている。こうした問題は見直していくべきであり、基本的には原価計算方式にすべきだろう。また、原価計算の際の利益率のあり方については今後、議論すべき。薬剤費を上げることばかりが薬業界の希望であり、「それは無茶ではないか」と言いたい。ただ、一方で、ドラッグ・ラグの問題もあり、これらのバランスを取らなければいけない。
3.7対1看護、72時間夜間勤務等の看護問題と地域格差
西澤氏:7対1看護(入院基本料)が入ったときに、東京の病院などが、北海道、札幌まで看護師の募集に来た。その結果、北海道では10対1看護のところが15対1看護になり、月72時間夜勤も守れず、一番低い点数しか算定できない病院も出た。それほど悲惨な目にあった、7対1看護と月72時間夜勤については、非常に強い恨みがある。この72時間は、労働基準法とダブルスタンダードであり、(夜勤は月72時間までという)より厳しい基準を、ペナルティー的に入れるのは問題であり、「5対1看護、月平均夜勤時間数64時間」は、絶対に入れてはいけない。また、地域格差は、都市部では物価などが高い、一方で地方では人の確保が難しいなど、問題の所在が異なる。どう評価するかは難しいが、一つでも二つでもいいので、地域特性を踏まえた� ��価をしたい。将来的には、オーストラリアのように、すべて中央で一律でやるのではなく、地方に財源と権限を与えることが必要ではないか。
4.入院中の患者の他科受診について
西澤氏:他の医療機関で医療を受ける必要が生じた場合には、転院あるいは対診で対応するのが基本。しかし、他科受診の際に、出来高制の場合は入院料が30%、包括制の入院料は70%減額されるのは、大きな問題。複数の疾患を持つ患者が非常に多い現状を踏まえ、ルールを変えるよう、日本病院団体協議会で次期改定に向けて要望を出す。また、他科受診の際の投薬を1日分しか認めていないのは、厚労省は「性悪説」に立っているため。例えば、薬代も含まれている包括制の病院で、他の医療機関を受診させて、1カ月分処方してもらうケースもあり得ると考えているのだろう。さらに、例えば内科に入院中の患者が、同一医療機関内で眼科を受診した場合の技術料算定についても問題がある。一部を評価すると、他の評価も必要にな� �てくる。他科受診の見直しに当たっては、こうした視点で取り組んでいく。
安達氏:診療報酬は、一定のルールに基づき決める。その狭間がどうしても出てくるので、それをどうやって埋めるのかを考えていかなければいけない。行政的な手法の限界があり、現場の実態を問いかけていくことが必要。
5.慢性期入院医療について
鈴木氏:社会保障と税一体改革成案でも、慢性期医療はきちんと位置づけられている。大病院と診療所だけは不十分であり、亜急性期と慢性期を位置づけないといけない。医療療養病棟の医療区分は、1を上げると、2と3を下げることになりかねない。この辺りは注意してみていく必要がある。また入院基本料13対1、15対1の病院が、地域医療を維持しているケースもあり、継続が困難にならないようにしていく必要がある。
安達氏:「やったことについては、きちんと評価を」ということ。2006年度診療報酬改定で医療区分が導入された際、当時の医療課長は、「(最も医療必要度が低い)医療区分1は確実に赤字になるように設定した」と言っていた。個々の価格を公定価格で決めている以上、赤字の診療行為があってはならない。
6.在宅医療について
安達氏:(在宅療養支援診療所として在宅医療に取り組む診療所と、そうでない診療所との格差などを懸念しているが)開業医の立場で言えば、そんなに腰を引かなくてもいいのではないか。在宅医療には様々な形があり、かかりつけの患者を必要になったら、在宅で診るというプリミティブなことでもいい。看取りにしても、在宅療養支援診療所が診ている在宅死は、4分の1にとどまる。ただ、(在宅療養支援診療所が算定できる点数と一般診療所の)点数格差は大きいので、改善が必要。また今後の在宅医療に当たっては、チームでの対応、後方ベッドの確保などがポイントになる。京都府は、「あんしん医療提供体制システム」の構築を進めており、府が補助金を出し、在宅医療の整備なども進めている。
鈴木氏:基本は、かかりつけ医が最後まで診る形だろう。それが何とかできないかと考えている。1つの診療所だけでなく、チームを組み、それぞれの先生ができる範囲で取り組めるような体制を作りたい。
嘉山氏:2038年には、死亡者数は今の約1.7倍、約170万人になり、病院で全員を看取ることはできない。在宅、あるいは有床診で看取る必要があり、この辺りの制度設計は必要。
7.有床診療所について
安達氏:有床診からは、いつも入院基本料引き上げの要望が出ている。「苦しいから上げてほしい」ではなく、「在宅医療を支える後方ベッドの機能など、有床診の今日的な意味がある」などと、その機能を全面に出した主張をすべき。今の医療における意味と重要性を主張すれば、入院基本料を上げていく方向性はある。また医療経済実態調査については、例えば、収入は平均値だけでなく、分布も分かるように分析するなど、以前よりも精緻な形にしている。有床診についても、分析が可能な形になるだろう。
鈴木氏:超高齢者社会にあり、有床診の役割は見直されてきている。これは時代の要請であり、有床診を活用しない手はない。
8.新薬創出加算について
邉見氏:(1)新薬創出・適応外薬解消等促進加算は、まだその成果が見えないので、恒久化ではなく、試行にとどめる、(2)市場が拡大した薬は、再算定が行われるが、そもそも最初の見積もりが甘いのではないか、(3)先発医薬品よりも、薬価が高い後発医薬品があるため、後発医薬品を使用したか否かではなく、薬価が安いものを使用した際に、加算をつけるなどの見直しが必要、という指摘だが、いずれもその通りだと思う。
(1)については、まだ結果が出ていないため、「試行を続ける」、「廃止」、「恒久化」の三つの選択肢があるが、試行を続けるのがいい。(2)だが、「予想より、10倍売れたら、薬価を10分の1にする」という考え方もある。今は薬価の引き下げは最大で25%で、製薬業界はこの25%の廃止も求めている。「せっかくいい薬を作った」という意味もあるので、25%でいいのではないか。ただし、1号側(支払側)も、「医療費は薬のためにあるわけではない」としている。薬価算定の際、企業の利益などをどう加味されているのか、我々が分からないところで決まっている。二桁の増収増益が続いている業界は他にないので、厳しく見ていく必要がある。
9.柔道整復師に係る療養費について
安達氏:不毛な議論を止めて、健康保険組合は、会計の収支報告に、柔道整復師の療養費は入れず、別会計にすべき。柔道整復師による施術は、被保険者に対する福祉と位置づけ、財政的に余裕がある組合は実施し、余裕がない場合には支給しないという形にしてはどうか。今年の医療経済実態調査の保険者調査では、療養費分だけを独立して出すように求めている。可能な保険者とそうでない保険者があるが、このデータが議論のたたき台になるだろう。
また、療養担当規則には、「医師はみだりに施療を薦めてはならない」とある。左の片マヒなのに、右側をマッサージーするなどのケースが見られる。レセプトを見ると、医師の同意書を求めるためだけに、受診している患者がいる。こうした患者を説得しなければならない。「隣の医院では、出してくれた」などと言われないよう、医師全員がこの療養担当規則を徹底しなければならない。
10.医療機関における控除対象外消費税
安達氏:消費税非課税という幻想を捨てるべき。先日、日本医師会は、全国の郡市医師会の役員宛にアンケートを行った。これは、「全国の医師のみなさん、医療非課税の幻は捨ててほしい。医療機関は何らかの形で課税業種になるしかない。その道筋を付けたい」という教育的アンケートだと私は受け止めた。私はそれは正しいと考えている。医療非課税を主張する限り、税率が10%、15%などと引き上げられた際、薬や材料などにかかる消費税は経営を圧迫する。
そもそも消費税が導入された際、日医は非課税業種を選んだ。ここに誤りがある。当時、薬価差益は10%、15%あった。だから全体的に考え、非課税の方がいいだろうと判断したのだろう。しかし、財務官僚は、「さすが日本医師会、医療界、太っ腹」と言っていた。
その後、税率は3%から5%にアップした際も、議論になったが、結局、診療報酬を一部引き上げ、今後さらに引き上げる際に、抜本的検討をすることで決着した。これが当時の自公政権の約束だったが、民主党政権はどう考えるのか。
課税業種になれば、医療機関は、薬や材料などの購入費、その消費税を計算するなど、新たな会計上の処理が生じる。消費税問題に関心がない医師は多く、非課税の幻の中にずっと漂っている。現状について正しく認識しないと大変厳しいことになる。
15.「受診時定額負担、断固反対」、十四大都市医師会連絡協議会
災害時における相互支援に関する協定は継続を確認
M3 2011年9月26日
大恐慌時の宗教
第50回十四大都市医師会連絡協議会が9月24、25日の2日間、京都市で開催され、受診時定額負担制度の創設に断固反対する旨と、総合特別区域基本方針について十分な議論を求める決議を採択した。
主務地医師会である、京都府医師会会長の森洋一氏は、「受診時定額負担制度は、社会保障と税一体改革で打ち出された。高額療養費の負担軽減は必要だが、その財源を受診者に求めることは断じて許さない。弱者の受診を抑制する施策であり、人に優しい政権を掲げる民主党政権の施策と矛盾するのではないか。また、総合特別区域基本方針の検討に当たっては、医療産業の育成と医療の商品化を混同した議論は避けるべき」と強く問題視。
同医師会副会長の安達秀樹氏も、「受診時定額負担制度は、運用の形は多少違うが、実質は軽医療免責制そのもの。100円負担が発端となり、日本の医療保険制度の大きな危機を招きかねない。高額療養費の上限額を下げることには誰も反対はできない。これを人質に取り、日本の医療に軽医療免責制を導入する考えがあるのではないか」と指摘した。
今後、主務地である京都府医師会が、政府や民主党に対し、この決議を提出する予定。「多くの関係者にこの問題を理解してもらうため、京都では、府や府議などにも説明していく」(安達氏)。
【十四大都市医師会連絡協議会の決議】(2011年9月25日)
一 受診時定額負担制度創設に断固反対する
国民皆保険制度は、国民が等しく保険料を支払い、それによってリスクの分散を図るものであるが、高額医療受診時の自己負担のさらなる軽減の原資を外来受診者の受診時定額負担に求めるという今回の制度は、実質的に軽医療免責制であり、保険制度のあり方の本質にかかわる問題である。軽医療免責制は、公費投入を含む社会保険的性格を持つ国民皆保険制度においては導入されるべきものではない。国民皆保険制度を堅持するための負担のあり方については、このような姑息な手段で当面を乗り切ることを企図するのではなく、正面からの抜本的な議論が必要である。
一 総合特別区域基本方針については十分な議論を行うべきである>
「総合特別区域基本方針」においては、「今後の経済成長の柱となる医療関連産業の国際競争拠点形成」を行うとしているが、「医療関連産業の育成」と「医療行為自体の商品化」を混同するべきではない。「有効な新薬の開発」や「画期的な医療機器・機材・技術の開発」およびそれらの「承認の迅速化」は医学の進歩に寄与するものであると同時に、経済成長に貢献することが期待される分野であり、生命倫理が守られる範囲内で積極的に支援しなければならない施策である。しかしながら、ライフイノベーションとして検討されている、(1)医療ツーリズム、(2)混合診療解禁に伴う株式会社の病院経営参入は、医療を営利産業として位置づけるもので、「いつでも、どこでも、誰でも」安心して質の高い医療が受けられる、わ が国が世界に誇る国民皆保険制度を崩壊に導くものである。
広域災害時の対応に課題も
十四大都市医師会連絡協議会は、札幌市、仙台市、千葉市、川崎市、横浜市、名古屋市、堺市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市の11の政令指定都市、および東京都、京都府、大阪府の3都府の医師会で構成。阪神淡路・大震災の被災地である神戸市医師会の発案で、2007年10月に、「十四大都市医師会災害時における相互支援に関する協定書」を結んでいる。
今回の第50回会議では、東日本大震災で本協定が果たした役割も検証された。事前に情報伝達に関する訓練を行うなど、「顔が見える関係」を構築していたことが、震災翌日の12日から検視医の派遣などの検討を開始し、13日には派遣に至るなど、迅速な対応につながったため、「その迅速性を生かすべく、発災直後より十四大都市の相互支援協定を機能させるべき」と、今後も協定を継続することが確認された。ただし、一方で、本協定は、直下型の都市部の災害に対し、十四大都市医師会が相互支援することが目的のため、東日本大震災のような広域の大震災への対応については見直す必要性が指摘され、(1)大都市域を越える災害時には、県の医師会または日医JMATとの調整を行い、可能であれば並行して派遣する、(2)災害状況� �よっては、日医や県のJMAT活動に引き継ぐ――などが今後の検討課題とされた。
検視医派遣には迅速性発揮
本協定では、例えば今回のように仙台市が被災した場合には、札幌市医師会が支援本部となるなど、支援体制が決まっている。(1)被災都市における救護所および避難所への医療チーム派遣、(2)被災都市医師会への医薬品、医療資器材の提供、などが主な役割で、現地滞在2泊3日が原則。
会議では、支援本部を務めた札幌市医師会理事の前田信彦氏、支援を受ける側の仙台市医師会会長の永井幸夫氏、理事の瀬野幸治氏がそれぞれ今回の対応を紹介。
札幌市医師会では、震災直後の3月11日15時14分から、仙台市医師会に電子メールや電話などで連絡を取ることを試みたがなかなか通じず、情報収集に苦労したしたと指摘。死者・行方不明者が多数出ていることから、検視医の派遣要請を受けたのは12日10時5分だ。翌13日に札幌市から自衛隊機で花巻空港経由で宮城県入りしている。その後、検視医は、各医師会の協力を得て3月23日までの11日間、派遣し続けた。並行して診療支援活動の準備も進め、3月20日から4月8日までの20日間、避難所での救護活動や巡回診療を継続した。
一方、仙台市医師会は、3月11日から、約1カ月間、24時間体制で災害対策本部を設置し、(1)できるだけ早く診療を再開、(2)近隣の避難所を巡回、を基本方針として取り組んだことを紹介。745の会員診療所のうち、3月14日の夕方の時点では、261の診療所が再開、25日の時点では500を超えたという。仙台市医師会長の永井氏は、「ライフラインが途絶えている中でも、医療支援に来てくれた。十四大都市医師会の顔が見える支援は本当に助かった」とし、各医師会の支援が、早期の診療再開につながったとした。
「中央防災会議への参加求める」、日医
そのほか、会議では、岩手県医師会会長の石川育成氏、福島県医師会常任理事の星北斗氏が被災地報告を行ったほか、日本医師会がJMATの活動を報告した。各者の発言に共通していたのは、行政や医師会など関係組織の連携の重要性だ。
石川氏は、岩手県では、県、県医師会、岩手医科大学のそれぞれの災害対策本部の連携はスムーズに行ったものの、「日医と我々の災害対策本部との強固なパイプなかかったことが、反省点」とコメント。
星氏は、県との連携自体がうまくいかず、「福島県・医療関係者懇談会」の第1回会議が開催されたのが4月8日だったと説明。
日医副会長の横倉義武氏は、国の中央防災会議に日医が参加していない現状を問題視。同会議に、医療関係者として参加しているのは、日本赤十字社だ。「行政組織との連携は重要であり、日ごろから関係を構築しておく必要がある。中央防災会議に日医が参画できるよう、要望している」。横倉氏はこう語るとともに、通信手段や被災地でのコーディネーターの確保などをはじめ、JMATの今後のあり方についても検討していくとした。
16.「早大医学部新設」報道に懸念 茨城県の医学部誘致に県医師会が反対表明
日経メディカル2011年9月26日
茨城県が早稲田大学に医学部新設を打診していることについて、茨城県医師会会長の斎藤浩氏は9月21日、記者会見を開き反対を表明した。
茨城県知事の橋本昌氏は、地域医療の充実を公約の一つに挙げ、09年9月の知事選に当選(5期目)。公約では、医科大学の誘致や県立高校への医学部進学コースの設置などを掲げていた。
全国の医師数は、人口10万人当たり224.5人。それに対して茨城県の医師数は同162.1人で、埼玉県に次いで全国で2番目に少ない。2次医療圏別では、常陸太田・ひたちなかが同90.9人、鹿行が同92.3人と顕著に少ない。
2011年9月17日に一部の新聞が、茨城県が早稲田大学に新設医学部の誘致を打診していると報道。県医師会の斎藤氏は、橋本氏が早稲田大学に誘致を打診したことを確認した上で、反対の意を表明したという。
斎藤氏は反対の理由として、医学部の新設で教員を確保すると全国の医師不足がさらに深刻化することや、国公立大を中心に行われている緊急医師確保対策や地域枠設定により医学部定員が増加していること、医学生が医師免許取得後に県内に残らない可能性があることなどを挙げた。また、一度医学部を新設すると学生を確保し続けなければならないことも、理由の一つだという。
17.脳梗塞、心筋梗塞、末梢動脈疾患の管理で最近注目の疾患概念とは?
Elsevier2011年9月27日
脳梗塞や心筋梗塞、末梢動脈疾患(PAD)など、動脈硬化を基盤とした病態を包括した新たな疾患概念として、注目を集める"ATIS(=AtheroThrombosIS、エイティス)"。これまで独立して扱われてきた疾患を、改めて1つの病態を基盤とした全身性疾患として定義付けた。例えば、脳梗塞の既往がある患者では、脳梗塞だけでなく、心筋梗塞、PADの発症リスクが高いなど、別の虚血性疾患を発症するリスクが高いことも知られている。疾患概念の浸透により、抗血小板療法を含めた適切な全身管理が広く普及することが期待されている。
日本を含めた国際大規模観察研究「REACH Registry(Reduction of Atherothrombosis for Continued Health)」では、登録されたアテローム血栓症の既往がある日本人患者の1年間のイベント発症率を検討している。それによると、冠動脈疾患患者(CAD、2252例)、脳血管障害患者(CVD、1962例)、末梢動脈疾患患者(PAD、603例)のいずれの患者群でも非致死性脳卒中の発生率が最も高い。
CVD群では、心血管死が0.97%、非致死性心筋梗塞が0.46%に対し、非致死性脳卒中が2.60%となっている。同様に、CAD群では、心血管死が0.58%、非致死性心筋梗塞が0.84%、非致死性脳卒中が1.15%。PAD群では、心血管死が0.66%、非致死性心筋梗塞が0.66%、非致死性脳卒中が2.32%で、必ずしも再発リスクが高いだけでなく、全身の動脈硬化発症リスクが高いことが分かる(図1)。
帝京大学医学部付属病院内科(循環器科)教授の一色高明氏は、7月8日に開かれたサノフィ・アベンティス主催のメディアラウンドテーブル「ATISの概念からみた冠動脈疾患~心筋梗塞・狭心症を全身性の血管疾患として考える~」で、REACH Registryの結果を紹介。循環器内科医の立場から、循環器疾患の既往がある患者では、1年以内に他の虚血性疾患を発症するリスクが高いと指摘した。その上で、「CADの既往がなくても、CVAやPADがあれば二次予防に近似させた管理をすべき」と述べ、積極的な抗血小板療法の重要性を強調した。
◎ATIS 進む専門医での浸透 一般臨床医への疾患啓発がカギに
このような中にあって、全身管理の必要性を広く啓発することの重要性も増してきている。医師限定コミュニティサイト「MedPeer」で臨床医を対象に、疾患啓発に、これまで用いられてきた"アテローム血栓症"と"ATIS"どちらが適した言葉かたずねたところ、「ATIS」と回答した医師は15%にとどまることが分かった。調査期間は、2011年8月17~30日まで。回答した医師は2589人。内訳は、勤務医1674人、開業医355人。
「ATIS」と回答した医師は、15%(385人)で、「アテローム血栓症」と回答した79%(2042人)を下回った。
一方で、脳神経外科では59%(46人/78人)、神経内科では43%(55人/127人)、循環器科では29%(59人/205人)で、ATISにかかわる専門医では疾患概念が浸透していることも分かった(図2)。実際、「ATISという言葉に馴染んできた」(40代・循環器内科)、「ATISの呼称で研究会等では認識されていると思う」(50代・脳神経外科)、「全身疾患としての概念ですので統括的な研究が必要とされると思う」(40代・脳神経外科)などの自由回答も寄せられている。今後は、一般臨床医への疾患啓発も重要になりそうだ。
全身管理の根幹をなす抗血小板療法については、「年齢、主要血管狭窄の有無等を考えた上で使い分けている」(50代・脳神経外科)、「血管のサイズなどにより、使用方法やアプローチなども違ってくるため、治療方針はカテゴライズする必要がある」(30代・脳神経外科)などの回答もあがった。
一方で、「アテローム血栓症」と回答した医師からは、「略称がふえると何のことか分からなくなる」(50代、一般内科)「今までのままでいいと思う」(40代、循環器内科医)など、現状で大きな問題がないとの指摘や、略語への抵抗感が自由回答として寄せられた。
18.ベネット服用後は散歩が必須?
日経メディカル2011年9月27日
<処方せんの具体的内容は>
70歳代の女性
<処方1> 病院の内科
ベネット錠17.5mg 1錠 週に1回起床時内服、30分飲食禁止 4日分
*その他処方薬の記載省略。
*今回2回目の処方である。
<何が起こりましたか?>
・患者は、患者指導箋に記載された『ベネット錠<リセドロン酸ナトリウム>を服用した後、横にならないように!』を見て、「じっとしていることは禁止で、動き回っていなければならない」と判断した。
<どのような過程で起こりましたか?>
・前回<処方1>を処方した。再診時に、患者から「この薬(ベネット錠)を飲み始めてからは、毎朝、散歩に出かけなければならないのがおっくうで困るのよね!」との訴えがあった。その理由をよく聞いてみると、「薬局でもらった紙にそう書いてあった」と述べた。そこで、院内薬局に詳細について調査を依頼すると、ベネット錠の患者指導箋に「すぐ横にならないように」と記載されており、この注意書きを患者は「立って動き回っていなければいけない!」と解釈していることが判明した。
<どのような状態になりましたか>
・患者に、すぐ横にならないようにするのは、すぐ横になるとお薬が食道にとどまり、粘膜に刺激を与える可能性があるためであることを説明した。また、毎朝、散歩をすることは決して悪いことではない。ただ、この薬を服用した後は、散歩をしてもよいし、動かずに立ったままじっとしてもよいし、またじっと座っていてもいいと説明した。
<なぜ起こったのでしょうか?>
・薬剤師が患者に交付した患者指導箋「ベネット錠17.5mg飲み方とご注意」には、「飲んでから30分間は横にならず、水以外の飲食、他のお薬の服用はさけてください」(実際には下線部は赤字で記載されている)と記載されていた。本剤を初めて処方した時、薬剤師がこれらの注意事項を口頭で注意喚起したとのことだったが、患者はよく理解していなかったと考えられる。
・「横になってはいけない」の注意を、「じっとしていてはいけない」と判断する患者がいることを、薬剤師が想像できなかったため、薬剤服用後の「30分間における過ごし方」について具体的に説明しなかったのではないかと思われる。また、医師として、患者に上記のことについて、注意喚起しなかった。
<二度と起こさないために今後どうするか?>
・「アクトネル錠・ベネット錠」、「ボナロン錠・フォサマック錠」、「リカルボン錠・ボルテオ錠」の服用後の基本的注意事項として共通しているのは、「薬を飲んでから30分間は水以外の飲み物や食べ物、他のお薬をとらないでください。また、飲んでから30分間は横にならず、その日最初の食事を終えるまでは体を起こしたままでいてください」である。
・この注意事項の中で、薬剤服用後の「30分間における過ごし方」について言及されたものは極めて少ない。以下にその他の行為も含めてまとめて見よう。
《薬剤服用後、食事の前の体を起こしている状態での30分間の過ごし方の例》
○身だしなみを整える
○家事(朝食の準備、部屋の掃除、洗濯など)をする
○座って朝刊を読む・テレビを見る
○ハミガキをする(ただし、歯磨きペーストは嚥下しない)
○散歩・ガーデニングをする
患者には、事前にこれらの行為についても具体的に説明することが必要であろう。
19.アスピリン以外のNSAIDsの日常的な使用は腎細胞癌リスクを高める
Arch Intern Med誌から
CareNet2011年9月27日
アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の日常的な使用と腎細胞癌の間に有意な関係があることが、2件の大規模前向き研究のデータを利用した研究で示された。米Harvard大学医学部のEunyoung Cho氏らが、Arch Intern Med誌2011年9月12日号に報告した。
鎮痛薬の使用が腎細胞癌リスクを高めることを示唆したケースコントロール研究などの結果は複数報告されていたが、前向き研究で確認されたのは今回が初めて。
腎細胞癌の罹患率は世界的に上昇している。修正可能な危険因子として喫煙、肥満、高血圧などが知られているが、鎮痛薬の使用もまた危険因子なのかどうかを明らかにするため、著者らは2件の大規模前向き研究、Nurses' Health Study(NHS)とHealth Professionals Follow-up Study(HPFS)に登録された人々のデータを利用した。
NHSは1990年から、HPFSは1986年から2年おきに、アスピリン、その他のNSAIDs、およびアセトアミノフェンの使用に関する情報を記録していた。著者らはそれらを抽出し、1種類の鎮痛薬を1週間に2回以上継続使用している場合を「日常的な使用者」とした。
腎細胞癌の既知の危険因子である、BMI、喫煙、身体活動量、高血圧に関する情報も入手した。
必要な情報がそろっており、癌の既往がない人々を追跡。7万7525人の女性(NHS登録者)を16年(110万6683人-年)追跡、4万9403人の男性(HPFS登録者)を20年(80万7017人-年)追跡した間に、腎細胞癌罹患が333例(女性153例、男性180例)認められた。
ベースラインの鎮痛薬の使用状況とその後の腎細胞癌罹患の関係を調べるためにデータをプールし、年齢、喫煙状態、BMI、高血圧、身体活動量、果物の摂取、野菜の摂取、飲酒、女性の場合は出産経歴も加えて調整し、相対リスクを求めた。
アスピリンの日常的な使用とアセトアミノフェンの日常的な使用は、腎細胞癌リスクと無関係だった。いずれの薬剤も日常的に使用していなかったグループを参照群として求めた多変量調整相対リスクは、アスピリン使用者が0.96(95%信頼区間0.75-1.23)、アセトアミノフェン使用者は1.32(0.96-1.84)になった。一方、アスピリン以外のNSAIDsの日常的な使用は腎細胞癌リスクを高めていた。多変量調整相対リスクは1.51(1.12-2.04)。以上の結果に性差はなかった(不均質性のP=0.60)。
NHSでは、アスピリン以外のNSAIDsの使用頻度について、より詳細なデータが記録されていた。非使用者に比べ、1カ月に1~4日使用する女性の腎細胞癌罹患の相対リスクは1.08(0.67-1.74)、5~14日使用群では1.30(0.71-2.39)、それ以上使用していた女性では1.86(1.19-2.90)になった。
アスピリン以外のNSAIDsについて、非使用者と比較した使用者の腎細胞癌罹患の絶対リスク差を求めたところ、女性が10万人-年当たり9.15、男性は10万人-年当たり10.92で、害必要数(NNH)は、女性が1万929、男性は9158になった。
アスピリン以外のNSAIDsの日常的使用期間と腎細胞癌リスクの間には用量反応関係が認められた。多変量調整相対リスクは、使用期間が4年未満では0.81(0.59-1.11)、4年以上10年未満は1.36(0.98-1.89)、10年以上では2.92(1.71-5.01)だった(傾向性のP<0.001)。
アスピリンとアセトアミノフェンについては、使用期間が長くなっても腎細胞癌との間の関係は有意にならなかった。アスピリンの日常的な使用を10年以上続けていた人々の相対リスクは1.13(0.73-1.74)、アセトアミノフェンは1.05(0.65-1.69)だった。
大規模前向き研究で、アスピリン以外のNSAIDsの日常的な使用、特に長期にわたる使用は、腎細胞癌リスクを高めることが示された。著者らは、「今回の結果が別の研究によって確認されれば、鎮痛薬使用のリスクと利益のバランスを考える際に腎細胞癌リスクも考慮する必要が出てくるだろう」と述べている。
原題は「Prospective Evaluation of Analgesic Use and Risk of Renal Cell Cancer」
20.重度市中肺炎におけるtifacoginと死亡率
【原題】Tifacogin and Mortality in Severe CAP
日経メディカル2011年9月27日
28―day mortality was no better with tifacogin ― a recombinant tissue factor pathway inhibitor ― than with placebo.
Endothelial cell injury during sepsis leads to activation of the coagulation process through tissue factor (TF), resulting in capillary thrombosis and eventual organ failure and death. Tissue factor pathway inhibitor (TFPI) inhibits the procoagulant activity of TF. A recombinant TFPI, tifacogin, did not lengthen survival in a phase III study among individuals with sepsis, but subgroup analysis (Crit Care 2009; 13:R36) suggested benefit in patients with severe community-acquired pneumonia (sCAP).
Now, researchers have conducted a manufacturer-sponsored, phase III, double-blind trial (CAPTIVATE) to examine the efficacy and safety of tifacogin in patients with sCAP. The study was performed between May 2004 and July 2008 at 188 medical centers worldwide. A total of 2012 adults with sCAP were randomized to receive a 96-hour intravenous infusion of tifacogin (0.025 mg/kg/hour), tifacogin (0.075 mg/kg/hour), or placebo. Administration of heparin was prohibited before and during the infusion.
The tifacogin 0.075 mg/kg/hour arm was stopped early because of a lack of efficacy, and subsequent patients were randomized to one of the other treatment groups. At the end of the trial, 28-day all-cause mortality rates were similar between the tifacogin 0.025 mg/kg/hour group and the placebo group (18.0% and 17.9%; P=0.56). Rates of adverse events and serious adverse events were also similar between groups. However, the tifacogin 0.025 mg/kg/hour group did demonstrate a reduction in biomarkers indicative of coagulation activity.
COMMENT
As editorialists point out, CAPTIVATE is yet another trial demonstrating that anticoagulant therapy for severe infection is not effective in preventing mortality.
― Neil M. Ampel, MD, Journal Watch Infectious Diseases
Wunderink RG et al. Recombinant tissue factor pathway inhibitor in severe community-acquired pneumonia: A randomized trial. Am J Respir Crit Care Med 2011 Jun 1; 183:1561.
Sanchez JF et al. How tifacogin could not captivate severe community-acquired pneumonia. Am J Respir Crit Care Med 2011 Jun 1; 183:1449.
21.大動脈二尖弁患者の大動脈解離発生率は、一般住民に比べて有意に高率
CareNet2011年9月27日
フォールズチャーチ医療センター
先天性心疾患で多くみられる大動脈二尖弁(BAV)を有する人の長期大動脈解離発生率は、1万患者・年当たり3.1例と低かったものの、一般住民の8.4倍と有意に高率であることが明らかにされた。未診断だった人も含めた発生率は同1.5例であった。報告は、米国・メイヨークリニックのHector I. Michelena氏らによる後ろ向きコホート研究の結果による。これまで、BAVを有する人は重度の大動脈解離が起きやすいとされていたが、長期にわたる住民ベースのデータはなかったという。JAMA誌2011年9月14日号掲載より。
一般住民に対する年齢補正後相対リスクは8.4
Michelena氏らは、ミネソタ州オルムステッド郡住民でBAVを有していた大動脈合併症患者の総合的な評価を行った。1980~1999年に心エコーでBAVと診断されていた全住民を長期にわたり追跡し、またBAV未診断で大動脈合併症だった人を探し出し解析に加えた。最終フォローアップは2008~2009年までで、主要評価項目は、胸部大動脈解離、上行大動脈瘤、大動脈の手術とした。
心エコーでBAVと診断されていた人は416例で、平均16(SD 7)年追跡された(6,530患者・年)。
それら416例の大動脈解離の発生は、2例であった。発生率は1万患者・年当たり3.1例(95%信頼区間:0.5~9.5)、一般住民に対する年齢補正後相対リスクは8.4(95%信頼区間:2.1~33.5)だった(p=0.003)。
また、基線で50歳以上だった人の発生率は1万患者・年当たり17.4例(同:2.9~53.6)、大動脈瘤を有していた人は同44.9(同:7.5~138.5)だった。
診断の有無にかかわらない大動脈解離発生率は1万患者・年当たり1.5例
一方、BAV未診断だった人を含めた総合的評価において、新たに2例の大動脈解離発生患者が現出した。
BAV診断の有無にかかわらず二尖弁を有した人の大動脈解離発生率は1万患者・年当たり1.5例(95%信頼区間:0.4~3.8)で、BAVと診断されていた人と同等であった。
また、基線で大動脈瘤が認められなかった384例について解析した結果、49例が大動脈瘤を発生していた。1万患者・年当たり発生率は84.9(同:63.3~110.9)で、一般住民に対する年齢補正後相対リスクは86.2(同:65.1~114)だった(p<0.001)。大動脈手術の25年発生率は25%(同:17.2~32.8)だった。
22.米国18歳未満対象の段階的運転免許制度、死亡事故抑制には機能しておらず
AFPBB News2011年9月27日
米国の18歳未満を対象とする段階的運転免許(graduated driver licensing:GDL)制度の効果について検証したCalifornia Department of Motor VehiclesのScott V. Masten氏らは、16歳ドライバーの死亡事故はかなり低かったが、18歳ドライバーの死亡事故がやや高くなっており、「18歳ドライバー死亡事故の原因解明とGDL制度を改善すべきかを検証する必要がある」とまとめた報告を、JAMA誌2011年9月14日号で発表した。米国では自動車事故死が10代若者の主要な死因となっており、2000~2008年の16~19歳自動車死亡事故者は、ドライバー2万3,000人、同乗者1万4,000人以上に上った。また、事故発生は18~19歳で最も多かったが、走行距離補正後の死亡事故発生はより若い年齢で高く、18~19歳と比べて16歳は150%増、17歳は90%増であったという。
GDL制度と1986~2007年の16~19歳自動車死亡事故との関連を調査
現在全米50州とワシントンD.C.で導入されているGDL制度は、18歳未満を対象とした、無制限の運転免許を与える前に低リスク下での運転経験を十分に積んでもらうことを目的としたもので、最初の段階では3ヵ月以上の成人運転熟達者の同乗が必要とされ、続く段階として運転熟達者の同乗は不要だが夜間運転の禁止もしくは10代同乗者の禁止(またはいずれも禁止)が特徴となっている。
Masten氏らは、GDL制度と16~19歳自動車死亡事故との関連を調べるため、1986~2007年の四半期ごとの自動車死亡事故についてプール横断時系列解析を行った。
主要評価項目は、年齢ごとの対人口でみた死亡事故発生率と、GDL制度を取り入れていない州-地域と比較した、規制が強い州-地域(夜間運転と10代同乗者のいずれも禁止されている)、規制が緩い州-地域(どちらか一方のみが禁止されている)それぞれの割合および95%信頼区間とした。
解析は、22年間で4地域・51州の4,488州-地域を対象に含んだ。
規制が強い州-地域とGDL制度なし州-地域との、全年齢複合死亡事故発生率比は0.97
結果、死亡事故発生率はおおよそ年齢とともに増加する傾向にあり、人口10万人当たり、16歳ドライバー28.2、17歳ドライバー36.9、18歳ドライバー46.2、19歳ドライバー44.0だった。16歳が最も低く、18歳が高かった。
潜在的交絡因子で補正後、16歳ドライバー死亡事故発生率の低さと、GDL制度の特徴である規制との関連が認められた。規制のない州-地域との比較でみた、規制が強い州-地域の発生割合(RR)は0.74(95%信頼区間:0.65~0.84)だった。
しかしながら一方で、18歳ドライバーの死亡事故発生率の高さと、GDL制度規制の強さとの関連も認められ、規制のない州-地域との比較でみた、規制が強い州-地域のRRは1.12(同:1.01~1.23)だった。
また、その他の年齢および全年齢複合の規制との関連については、統計的な格差が認められなかった。RRはそれぞれ、17歳ドライバー0.91(95%信頼区間:0.83~1.01)、19歳ドライバー1.05(同:0.98~1.13)、16~19歳ドライバー複合0.97(同:0.92~1.03)だった。
23.Adding Novartis's Afinitor to Pfizer Drug Extends Cancer Patients' Lives
Bloomberg2011年9月27日
Novartis AG (NOVN)'s kidney-cancer drug Afinitor also prevented breast cancer from worsening in a study that the Swiss drugmaker plans to use in applying for regulatory approval.
Among women with breast tumors that had spread after treatment, Afinitor more than doubled the time until their disease worsened compared with those who only got Pfizer Inc. (PFE)'s Aromasin, according to results presented at a cancer conference in Stockholm today. The trial was stopped early because the primary goal was met earlier than expected.
"This could be game-changing," Jose Baselga, a Harvard Medical School professor and chief of hematology and oncology at Massachusetts General Hospital who led the study, said in an interview. "I don't recall a study in this patient population that had this magnitude of an effect. It's pretty exciting."
The findings move Novartis closer to marketing Afinitor for a fourth tumor type. The Basel-based company plans to apply for regulatory approval this year to sell Afinitor as a breast cancer treatment, and expects it to be on the market in the U.S. and Europe by the end of next year.
That would add more than $1 billion to annual sales over time, Herve Hoppenot, president of the company's cancer division, said in an interview in Stockholm.
European Approval Likely
European regulators are likely to approve the drug for breast cancer based on today's result, said Tim Race, an analyst at Deutsche Bank AG in London who rates Novartis shares "buy." The U.S. Food and Drug Administration may want to see longer- term data on whether Afinitor prolongs survival, he said.
An FDA advisory committee voted in June in favor of withdrawing marketing approval for Roche Holding AG (ROG)'s Avastin in breast cancer after longer-term studies showed the drug increased side effects and didn't prolong survival compared with chemotherapy.
"That's why the market's going to be a little bit careful with this data, and not price it in fully until they see a regulatory approval," Race said in a telephone interview today.
Novartis rose 1.3 percent to 49.12 Swiss francs in Zurich trading, compared with a 1.8 percent gain in the Bloomberg Europe Pharmaceutical Index.
Andrew Weiss, an analyst at Bank Vontobel AG in Zurich, upgraded his peak sales forecast for Afinitor in breast cancer to $1.8 billion from $1.5 billion. Sales of the drug in all disease types may reach $3.5 billion, he wrote in a note today. Revenue from the medicine more than tripled last year to $243 million.
Other Tumor Types
Afinitor, which is already approved in the U.S. as a treatment for cancers of the kidney and pancreas, as well as non-cancerous brain tumors, blocks a protein called mTOR that some cancer cells require to grow and multiply. Novartis is also testing the drug in patients with other types of breast cancer, as well as lymphoma and stomach and liver cancer.
Aromasin, also known as exemestane, stymies the production of the female hormone estrogen, which can spur the growth of breast tumors. Most women whose disease has spread aren't helped by hormone therapy, and those who are usually become resistant to the treatment, Novartis said.
Side Effects
The trial involved 724 women in 24 countries with an average age of 62 for whom hormone therapy was no longer controlling their cancer. Those who received Afinitor had a median delay of 6.9 months until their disease worsened, compared with 2.8 months among women who only received Aromasin, the study showed.
A separate analysis showed the benefit may have been as much as 10.6 months, compared with 4.1 months. The most common severe side effects of Afinitor were mouth ulcers, anemia and shortness of breath.
Novartis said in July that the trial had met its primary goal, and that Afinitor had "significantly" delayed disease progression, without providing details.
More than 200,000 women worldwide have the form of breast cancer that Novartis is targeting with Afinitor, of which 85,000 live in wealthy places such as the U.S., Japan and in Europe, Hoppenot said.
"We are very optimistic about this program," he said. "It can become a very significant part of our portfolio over the next four, five years."
Afinitor should now be tested in women with early-stage breast cancer to see whether it can prevent tumors from recurring, said Richard Gelber, a professor in biostatistics at Harvard Medical School.
"It works," Gelber said in an interview in Stockholm. "Let's move it forward and see if it can help other patients at an earlier phase."
Such studies are under discussion "but nothing is planned at this time," Novartis said in an e-mail.
24.Asthma tied to poorer diabetes control in kids
Reuters2011年9月26日
Kids with diabetes may have a higher-than-average rate of asthma, and those with both conditions seem to have a tougher time keeping their blood sugar under control, a study out Monday suggests.
Researchers found that among 2,000 3- to 21-year-olds with diabetes, 11 percent had asthma -- higher than the roughly 9 percent rate among children and young adults in the U.S.
The difference was bigger when the researchers looked at the 311 young people with type 2 diabetes, the form associated with obesity and usually diagnosed in adults.
In that group, 16 percent had asthma, compared with 10 percent of those with type 1 diabetes.
Type 1 diabetes is caused by an abnormal immune system reaction that kills off the pancreatic cells that make insulin, a hormone that helps shuttle sugar from the blood and into body cells to be used for energy. People with the disease have to take shots of synthetic insulin (or use an insulin pump) every day to keep their blood sugar levels normalized.
In this study, kids with both type 1 diabetes and asthma were more likely to have poor blood sugar control than their peers who were asthma-free: 15.5 percent, versus 9 percent.
"Poor" blood sugar control meant having a hemoglobin A1C level of more than 9.5 percent. Hemoglobin A1C is a measure of long-term blood sugar control, and experts say it should be kept below 7 percent in adults, while children's can go as high as 8.5 percent depending on their age.
The reasons for the findings, which appear in the journal Pediatrics, are not completely clear.
But the higher rate of asthma among young people with type 2 diabetes suggests a role for obesity, according to lead researcher Mary Helen Black, of the department of research and evaluation at Kaiser Permanente Southern California.
"It's pretty well-established that there's an obesity-asthma connection," Black told Reuters Health in an interview.
As for why young people with type 1 diabetes and asthma had poorer blood sugar control, one possibility is that there is a "real biological connection," Black said.
Some past research, for example, has found that people with poorly controlled diabetes are more likely to show dips in lung function over time than those with well-controlled diabetes. But the reasons for that are unknown.
On the other hand, Black said, it may simply be tougher for kids with type 1 diabetes to control their blood sugar when they have another chronic health problem.
"It can be incredibly challenging to manage both conditions," Black said.
The researchers did find that when kids with both diseases were on asthma medication, their blood sugar control was better.
In particular, poor blood sugar control was seen in less than 5 percent of those taking asthma drugs called leukotriene modifiers (sold under the brand-names Singulair, Accolate and Zyflo).
That compared with about 30 percent of type 1 diabetics who were not on medication for their asthma.
The researchers are not sure if that means there's an effect of the asthma drugs themselves. It may just be that kids with better-controlled asthma are also more likely to have well-controlled diabetes, according to Black.
She said the bottom line for doctors and parents is to be aware that kids with diabetes may have a somewhat higher rate of asthma -- and that those with both may have more trouble with blood sugar control.
If parents notice potential signs of asthma -- like wheezing, coughing or breathing problems that are not related to a cold or other infection -- they should talk to their child's doctor, Black said.
SOURCE: bit.ly/pTAIqi Pediatrics, online September 26, 2011.
25.Childless Men May Face Higher Heart Disease Risk
Study suggests infertility may explain the link
HealthDay News2011年9月26日
Men who do not have children appear to face a higher risk of dying from heart disease than those who become fathers, a new study suggests.
The findings also showed a slightly increased risk of cardiovascular trouble among men who had only one child. The researchers noted that the results may indicate a link between infertility and heart disease risk rather than a link between choosing not to have children and heart disease.
In the study, researchers analyzed more than a decade's worth of survey responses completed by roughly 135,000 male AARP members. The men were either married or had been married, and none had a prior history of heart disease or stroke.
Researchers tracked deaths and cause of deaths, and correlated that to the number of children the men had.
About 10 percent of the men died during the study period, including about 20 percent from heart disease.
After accounting for a wide range of factors such as race, cigarette and alcohol use, education and income status, age, exercise habits and body-mass index, researchers found that men who had no children had a 17 percent higher risk of dying from heart disease.
While the study found an association between childlessness and heart disease, it did not prove a cause and effect.
Researchers used married men as a "rough proxy" for men who had the opportunity to have children and wanted to have children, while the number of children men had was an indicator, albeit not a perfect one, for a man's fertility.
"This opens up a window into men's health," suggested study author Dr. Michael L. Eisenberg, an assistant professor in the department of urology at Stanford University in Palo Alto, Calif. "It shows that fertility may protect against later health problems. And if so it could mean that when men seek medical attention for infertility, which is often the first time they seek medical attention for anything, we could have a unique opportunity to intervene and help with their overall health."
And yet, researchers acknowledged neither marital status nor number of children was a precise measure of infertility. None of the men were actually screened for infertility status or other physiological markers for infertility, such as fluctuating testosterone levels.
So, while shared biological factors such as hormone deficiencies could be driving both childlessness and heart disease death risk, it's also possible that other environmental/behavioral issues might also contribute, researchers said.
For example, the authors noted that men who have children may end up embracing healthier lifestyles, thereby lowering their risk for heart disease.
"And it is certainly the case that things that are good for fertility are also going to be good for your heart," said Eisenberg, a urology resident at the University of California, San Francisco, when he did the study. "Good exercise habits, a good diet, maintaining a healthy weight, not smoking. All these things can impact both."
Researchers also stressed that their findings show an "association" between being childless and having heart disease, rather than cause-and-effect.
The study is published in the Sept. 26 online edition of Human Reproduction.
The authors pointed out that more than one-third of the human genome is involved in the process of reproduction. That fact led the team to theorize that fertility status might be significantly correlated with a man's long-term health and disease status.
Dr. Robert Myerburg, a cardiology professor at the University of Miami Miller School of Medicine, called the findings "compelling," but said childless men shouldn't worry.
"Given the large population they looked at, I think they have identified an association that is worth exploring," he noted. "And there may certainly be clues about what's going on here that are interesting and should be examined. But this is going to take a lot of studying for a very long time."
And, he noted, "population risk is not always the same as individual risk -- an 18 percent higher mortality risk among a group of childless men does not actually mean that any one childless man will face a noticeably higher risk. There might, in fact, be no consequences, especially if an individual's risk is very low to begin with. So while this research continues, childless men should not view these findings with alarm."
More information
For more on infertility, visit the U.S. Centers for Disease Control and Prevention.
SOURCE: Michael L. Eisenberg, M.D., assistant professor, department of urology, Stanford University, Palo Alto, Calif.; Robert Myerburg, M.D., cardiology professor, University of Miami Miller School of Medicine; September 26, 2011 online, Human Reproduction.
26.Lots of Coffee Might Lower Depression Risk: Study
Women who had four or more cups a day were 20% less likely to suffer mood disorder
HealthDay News2011年9月26日
Coffee lovers, take heart: Women who drink four or more cups of caffeinated coffee daily seem to have a lower risk of depression than those who don't drink java or stop at one cup a day, a new study suggests.
Although it's way too early to start recommending regular coffee consumption as a way to prevent depression, the findings may comfort those who feel guilty about their habit.
"This may lessen concerns that caffeine consumption will have a negative impact," said Dr. Christopher Cargile, an associate professor of psychiatry and behavioral science at Texas A&M Health Science Center College of Medicine. "Caffeine at high doses has long been associated with worsening of anxiety and other psychiatric illness, and at times this has lead to lingering concerns that it might be best to limit its use."
Cargile was not involved with the study, which appears in the Sept. 26 issue of the Archives of Internal Medicine.
The lion's share of caffeine in the world -- 80 percent -- is consumed in the form of coffee and caffeine is already the most widely used central nervous system stimulant in the world.
Researchers have probed caffeine's effect on heart health, markers of inflammation and cancer (generally the effects are benign or even positive), but there's been relatively little research into its effects on mood.
What little research has been done has generally found a salubrious effect, with more coffee decreasing depressive symptoms and even being associated with a lower risk of suicide.
"Caffeine has short-term positive effects on mood, subjective feelings of having more energy and being more awake in the short term," said study senior author Dr. Alberto Ascherio, who is a professor of epidemiology and nutrition at Harvard School of Public Health in Boston.
It seemed natural "to see whether long-term coffee consumption associated with a lower risk of developing depression," he added.
These authors tracked almost 51,000 women, averaging age 63, who were participating in the Nurses' Health Study. None of the women reported being depressed at the beginning of the study and none were on antidepressants.
Depression was measured by new diagnoses accompanied by long-term use of antidepressants.
Women who drank four cups of coffee or more a day had a 20 percent reduced risk for depression and those imbibing two to three cups daily had a 15 percent decreased risk, compared to those drinking one cup or less daily.
Decaffeinated versions of the drink didn't seem to be linked at all with depression.
A relationship between caffeinated coffee and depression does make a certain amount of biological sense, experts say.
"Caffeine is known to affect the release of several neurotransmitters, including dopamine and serotonin, that had been implicated in regulating mood and depression," said Ascherio, who is also professor of medicine at Harvard Medical School.
But those are short-term effects and "we [still] don't really know why coffee [over] years can decrease depression," he said.
"If caffeine has some antidepressant effect, we may be able to find compounds with an even stronger antidepressant effect," Ascherio said.
First, though, researchers need to determine if there is a cause-and-effect relationship at work here.
"Currently there's just too much we don't know about the cause-and-effect relationship that may be producing these findings," said Cargile, who is also regional associate dean of Texas A&M's Bryan-College Station campus.
More information
The National Institute of Mental Health has more on depression in women.
SOURCES: Alberto Ascherio, M.D., Dr.P.H., professor, epidemiology and nutrition, Harvard School of Public Health, and professor, medicine, Harvard Medical School; Christopher Cargile, M.D., associate professor, psychiatry and behavioral science, and regional associate dean, Bryan-College Station campus, Texas A&M Health Science Center College of Medicine; Sept. 26, 2011, Archives of Internal Medicine
27.Could Too Little Vitamin B-12 Shrink the Aging Brain?
Deficiency may affect thinking skills, but not enough evidence to advise supplements, experts say
HealthDay News2011年9月26日
Too little vitamin B-12 may be associated with smaller brain size and more problems with thinking skills as people age, new research suggests.
And the number of people who suffer from B-12 deficiencies may be greater than thought because current methods for measuring levels of the vitamin may not be accurate, said Christine C. Tangney, lead author of the study published in the Sept. 27 issue of Neurology. The study was funded by the U.S. National Institute on Aging.
The researchers assessed the study participants' vitamin levels not only from B-12 levels themselves, but from blood metabolites that are considered markers of B-12 activity (or lack of it) in the tissues.
But the findings aren't nearly enough to start recommending people take B-12 supplements to jumpstart their brains, cautioned Dr. Marc L. Gordon, chief of neurology of Zucker Hillside Hospital in Glen Oaks, N.Y. Gordon was not involved with the study.
"It's not clear exactly if you have a measurement like this whether it's causal or that lowering the marker will drive a change in the risk," he said.
And unless you're a strict vegan, most people do get enough B-12, which is critical for brain health, from their diet -- mainly from animal-derived products, added Gordon, who is also an Alzheimer's researcher at The Feinstein Institute for Medical Research in Manhasset, N.Y.
B-12 is critical for brain health but can become an issue as people get older because the body becomes less able to absorb it. Also, certain drugs can affect absorption. These include proton pump inhibitors, widely used to reduce stomach acid, and the hugely popular diabetes drug metformin (Glucophage).
The authors of the new study looked not only at B-12 levels but at five different blood markers for the vitamin that indicate "where B-12 is active in the tissues," said Tangney, who is associate professor in the department of clinical nutrition at Rush University Medical Center in Chicago.
These markers may actually be better indicators of how much B-12 is absorbed in the body than B-12 itself, she added.
In this study of 121 black and white seniors participating in the Chicago Health and Aging Project, volunteers had their blood drawn and tested for B-12 and related metabolites; they also took 17 tests to measure their memory and mental acuity (cognitive skills).
About 4.5 years later, the researchers measured the participants' brain volumes using MRI scans, and checked for other signs of brain damage. High levels of four of the five markers were linked with smaller brain volume and/or lower scores on cognitive tests, compared with people who had lower levels of the markers.
"This suggests that measuring B-12 levels in itself is not enough to tell if a person is deficient or not," Tangney said. "We need to be careful and think about other indicators."
If a person's B-12 levels are borderline normal, it might be reasonable to check other measures, said Gordon.
Tangney said the study results suggest that B-12 deficiencies contribute to brain atrophy (shrinkage), which in turn can contribute to cognitive problems. However, she also warned against making dietary changes or drawing too-firm conclusions from these findings, noting that they were based on data from only a small number of people.
More information
The U.S. National Institutes of Health's Office of Dietary Supplements has more on vitamin B-12.
SOURCES: Christine C. Tangney, Ph.D., associate professor of clinical nutrition, Rush University Medical Center, Chicago; Marc L. Gordon, M.D., chief of neurology, Zucker Hillside Hospital and Alzheimer's researcher, The Feinstein Institute for Medical Research, Manhasset, N.Y.; Sept. 27, 2011, Neurology
28.Cardiac Rehab May Help Heart Patients Live Longer
Program that trains heart to return to normal beat rate after exercise is underutilized, experts say
HealthDay News2011年9月26日
People with heart disease who undergo cardiac rehabilitation can improve their heart's ability to return to a normal rate after exercise, a new study suggests.
Researchers at the Cleveland Clinic noted that patients with normal heart rate recovery live longer than those whose hearts remain revved up for a longer period of time.
"There's no medicine that can do that," study author Dr. Leslie Cho, director of the Women's Cardiovascular Center at the Cleveland Clinic in Ohio, said in a news release from the American Heart Association.
"Especially in terms of mortality, if we had a medicine that could make this dramatic an impact, it would be the blockbuster drug of the century," Cho added.
In conducting the study, published in the current issue of Circulation: Journal of the American Heart Association, researchers examined 1,070 patients with various cardiovascular diseases who underwent cardiac rehabilitation at the Cleveland Clinic.
Cardiac rehabilitation included physician-supervised exercise typically three times a week with a 10- to 15-minute warm-up, 30 to 50 minutes of continuous aerobic activity and a 15- to 20-minute cool-down.
The patients' heart rate recovery, or the number of beats their heart rate decreased in the first minute after stopping exercise, was measured through exercise stress tests before and after the 12-week program.
At the start of the 12-week cardiac rehabilitation, 544 of those studied had abnormal heart rate recovery (a count of 12 beats or less). At the end of the program, however, the study found that 41 percent of them had normal heart rate recovery.
Of the 526 patients who started cardiac rehab with normal heart rate recovery, 89 percent maintained it after the 12-week program.
The researchers added that the risk of dying within eight years more than doubled for participants who had abnormal heart rate recovery following cardiac rehabilitation, even after taking other risk factors (such as smoking history) into account.
"Cardiac rehabilitation is the most underused treatment in America," noted Cho. "Not enough doctors are recommending it to patients. Even when a recommendation is made, patients aren't informed that cardiac rehabilitation can help them live longer."
The study's authors pointed out patients who didn't improve their heart rate recovery tended to be older, with a history of diabetes and heart disease. They added that more research is needed to explore whether or not an additional 12 weeks of cardiac rehab can improve patients' heart rate recovery even further.
More information
The U.S. National Heart, Lung, and Blood Institute has more about cardiac rehabilitation.
SOURCE: American Heart Association, news release, Sept. 26, 2011
29.More Frequent Doctor Visits May Benefit Diabetes Patients
Quicker control of blood glucose, blood pressure and cholesterol might reduce complications, study says
HealthDay News2011年9月26日
Diabetes patients who visit a primary care doctor every few weeks achieve quicker control of their blood glucose, blood pressure and cholesterol levels, researchers have found.
Control of these levels reduces the risk of diabetes-related complications, but most diabetes patients do not have these levels under control. Current treatment guidelines do not outline how often diabetes patients should see a doctor.
To determine whether more frequent doctor visits could help diabetes patients get control of their condition in a shorter period of time, researchers analyzed data from 26,496 adult diabetes patients who visited primary care doctors in Boston for at least two years between January 2000 and January 2009.
For patients who saw their doctor every one to two weeks, the median (midpoint) times to achieving their treatment goals were: 4.4 months without insulin and 10.1 months with insulin for blood glucose; 1.3 months for blood pressure; and 5.1 months for cholesterol.
The median times for patients who saw their doctor every three to six months were: 24.9 months without insulin, 52.8 months with insulin for blood glucose; 13.9 months for blood pressure; and 32.8 months for cholesterol, said Fritha Morrison, of Brigham and Women's Hospital in Boston, and colleagues.
The study is published in the Sept. 26 issue of the journal Archives of Internal Medicine.
More research is needed because "the retrospective nature of this study prevents us from establishing a causal relationship between encounter frequency and patient outcomes," the study authors pointed out in a journal news release.
More information
The American College of Physicians offers advice about living with diabetes.
SOURCE: JAMA/Archives journals, news release, Sept. 26, 2011
30.Certain Antidepressants With Blood Thinners May Pose Risk for Heart Patients
Study showed increased chances of bleeding for those taking SSRIS, antiplatelet meds after heart attack
HealthDay News2011年9月26日
Heart attack patients who take both selective serotonin reuptake inhibitor (SSRI) antidepressants and antiplatelet drugs such as aspirin or Plavix have a higher risk for bleeding than those who take anti-clotting drugs only, a new study finds.
Commonly prescribed SSRIs include Zoloft, Prozac, Paxil and Lexapro.
Antiplatelet drugs prevent blood cells from sticking together and forming a blood clot. Heart attack patients are commonly prescribed antiplatelet therapy to reduce their risk of another heart attack. But there's an increased risk of bleeding, which increases even further when certain other drugs are taken at the same time.
It so happens that many heart attack patients have depression symptoms and are prescribed antidepressants, noted the researchers at McGill University in Montreal.
"We're always concerned about how other medicines might interact with the medicines we know are essential to heart health and recovery after heart attack," said Dr. Kirk Garratt, clinical director of interventional cardiovascular research at Lenox Hill Hospital in New York City. "Although SSRIs are used in only a few cardiac patients, learning that SSRIs can increase [the] risk of bleeding complications could have important implications for how we care for patients after stents and other heart procedures."
In the Canadian study, the researchers looked at more than 27,000 heart attack patients, aged 50 and older, and found that patients taking aspirin or Plavix alone had a similar risk of bleeding. But taking an SSRI antidepressant and aspirin increased the risk of bleeding by 42 percent, and taking an SSRI with both aspirin and clopidogrel (dual antiplatelet therapy) increased the risk by 57 percent.
Bleeding included gastrointestinal bleeding, hemorrhagic stroke or other bleeding that required hospitalization or occurred in the hospital during treatment.
The researchers also found that the risk of bleeding was lower in women and in patients who had angioplasty after their heart attack.
The study appears Sept. 26 in the Canadian Medical Association Journal.
"Ultimately, clinicians must weigh the benefits of SSRI therapy against the risk of bleeding in patients with major depression following acute myocardial infarction," the researchers wrote in a journal news release.
They urged doctors to be cautious when prescribing antidepressants to heart attack patients on antiplatelet therapy.
More information
The Texas Heart Institute has more about antiplatelet therapy.
SOURCE: Kirk Garratt, MD, clinical director, interventional cardiovascular research, Lenox Hill Hospital, New York City; Canadian Medical Association Journal, news release, Sept. 26, 2011
31.Broccoli, Cabbage, Other Veggies May Protect Against Colon Cancer
Apples and dark yellow vegetables also tied to drop in malignancies, study says
HealthDay News2011年9月26日
Eating fruits and vegetables may reduce the risk of some colorectal cancers, according to a new study.
Austrailian researchers examined the diets of 918 colorectal cancer patients and 1,021 people with no history of the disease and found that consumption of certain vegetables and fruits were associated with a decreased risk of cancer in the proximal and distal colon -- that is, the upper and lower portions of the colon.
Consumption of brassica vegetables (also known as cole crops) such as broccoli, kale, cauliflower, turnips and cabbage, for example, appeared to reduce the risk of cancer in the upper colon, while both total fruit and vegetable intake (and total vegetable intake alone) reduced the risk of cancer in the lower colon.
They also found that eating more apples and dark, yellow vegetables was linked with a significantly reduced risk of lower colon cancer.
Yet higher levels of fruit juice consumption were associated with an increased risk for rectal cancer.
The study appears in the October issue of the Journal of the American Dietetic Association.
"Fruits and vegetables have been examined extensively in nutritional research in relation to CRC (colorectal cancer), however, their protective effect has been subject to debate, possibly because of different effects on different subsites of the large bowel," lead investigator Professor Lin Fritschi, head of the Epidemiology Group at the Western Australian Institute for Medical Research, said in a journal news release.
"It may be that some of the confusion about the relationship between diet and cancer risk is due to the fact that previous studies did not take site of the [colorectal cancer] into account. The replication of these findings in large prospective studies may help determine whether a higher intake of vegetables is a means for reducing the risk" of cancer in the lower colon, Fritschi concluded.
More information
The U.S. National Cancer Institute has more about colorectal cancer prevention.
SOURCE: Journal of the American Dietetic Association, news release, Sept. 26, 2011
32.JMM:福島県立医大の放射線医療拠点化構想を問う~事業仕分け人の視点から~
福島県の地元メディアは9月20日、福島県立医大の放射線医療拠点化構想を報じました。事業費約1千億円を想定し、福島県とともに政府の第3次補正予算に盛り込むことを要求するとの内容です。報道によると、同構想の概要は以下の通りです。
・5年以内に、5施設からなる放射線医療施設を新設
・5施設のために鉄筋コンクリート9階建て建物(延べ床面積約2万9千m2)を建設
・具体的には、1)330床の「放射線医学健康管理センター」(仮称)、2)分子イメージング施設(2カ所)、がん治療を中心とする3)創薬・治験センター及び4)研究
・実験施設、産学連携拠点となる5)「ふくしま医療産業振興拠点」(仮称)を整備・主要な設備としては、PET、サイクロトロン、超高解像度のCTスキャン、ホールボディーカウンターなどを設置
・年内に被ばく医療に特化した医学講座を新設(合わせて、医学部の定員増を要望予定)
民主党政権の登場で有名になった「事業仕分け」ですが、実は、2002年から各地の自治体で地道に展開されてきたものです。生活に密接した行政の取り組みについて、外部の視点を入れながら、公開で、そもそも論から議論していくことで成果を上げ、近年は対象事業の選定や当日の議論・判定に住民が直接参加する取り組みとしても、発展しています。
本稿では、この壮大な構想について、事業仕分け人の視点から問題提起を試みます。
■目的・目標は明確ですか
事業仕分けではまず、事業の目的と、その目的に沿った具体的な目標を問います。各種報道によると、本構想の下で描く各事業には、大まかに分けて1)県民の健康管理、2)創薬・研究・実験、3)人材育成、4)産学連携・産業振興という目的が掲げられているようです。しかし、この目的に沿って目指すところ(目標)は漠然としている印象を受けます。例えば、増床する330床はどの程度の稼働率を目標とするのでしょうか。いつまでにいくつの新薬を開発するのでしょうか。いつまでに何名の医師を育てるのでしょうか。いつまでに何社を誘致するのでしょうか。
目標が漠然としていると、その達成手段の選択もあやふやになり、当初の目的を逸脱したり、費用対効果を悪化させる可能性が高まります。本構想に含まれる各事業について、具体的な目標設定は行われているのでしょうか。予算に関わる議論の前提として、公開すべきではないでしょうか。
■「ハコモノ」は本当に必要ですか
続いて、掲げられた目的・目標に対する手段の妥当性を問います。
本構想では、上記の目的を実現する5施設を設置するために、9階建て建物を建設すると報じられています。しかし、この建物は本当に必要でしょうか。
9階建ての大部分は、330床の「健康管理センター」が占めるとみられます。福島県立医大附属病院は、778床の大病院です。病床の稼働率はどのような状況でしょうか。実は、想定される入院患者数を吸収できるだけのベッドが眠っているかもしれません。手段は一つではありません。既存施設の有効活用は、財源不足の昨今、常識となってきています。
また、「類似(もしくは重複)する事業はないか」という点の確認も必要です。復興予算の名の下、原発事故対策に関連付けた多くの事業案が出ていることが推察されます。どのような大義名分があっても、公的な予算から(増税も視野に)拠出する事業には違いありません。この事業が本当に必要なものか、より効果的で効率的な手段が無いか、既存の取り組みや他の事業案とも比較して議論することが重要です。
■「事業費」は本当に1千億円ですか
ところで「事業費約1千億円を想定」と報道されていますが、これは本当でしょうか。
各地の事業仕分けでしばしば遭遇する課題が、ハコモノ事業に対するコスト感覚の欠如です。施設を新築すると、土地取得費用や建設費などの初期費用だけでなく、日々、施設をメンテナンスしていくコストがかかります。これには当然、メンテナンスに携わる人件費も含まれます。また、施設を持ち続ければ老朽化し、大規模修繕が必要となります。長期的な修繕計画を含むトータルコストを試算し、その費用をどのようにまかなっていくか、シミュレーションをしておくことが重要です。
さらに、施設そのものの収益で費用をまかなえない場合は、誰がどのように負担するのでしょうか。国から、あるいは福島県から補助金を出すのでしょうか。議論が必要です。
事業の成立性という観点からは、他にも気になる点があります。広島大・長崎大との提携で医師を確保するとのことですが、看護師や放射線技師など、他のスタッフを確保する見通しは立っているのでしょうか。また、質の高い医療の提供、人材育成、研究開発の実現には、優秀な人材が不可欠です。新規講座の教員や、国内最高水準の研究を実現する研究者を集める戦略も気になります。さらに、昨今の経済情勢を受け、全国的に企業誘致は困難な状況です。誘致できる見通しは立っているのでしょうか。費用だけではなく、具体的な事業の成立性・実現性の検証が必要です。
■復興予算によって拠出する妥当性について
最後に、当院副院長の小松秀樹医師は、先日MRICで配信された「東北メディカル・メガバンク構想の倫理的欠陥」と題する記事で、復興予算による拠出を正当化するための4条件を提案していました。正当化するためには、以下の条件のいずれかを満たすことが必要だと述べています。
【小松医師による復興財源を正当化する4条件】
1.地元の被災者の生活の維持と再建に直結すること
2.被災者の雇用に直結すること
3.被災者を多数雇用する地元企業にお金が落ちること
4.被災地を後にした被災者の再就職と生活再建に直結すること
本構想は、復興予算による拠出に見合う事業でしょうか。負担する私たち一人一人に分かりやすいように、ご説明をお願い致します。
<参考資料>
・2011.9.20 福島民報「放射線医療5施設新設へ 福島医大に健康管理センター330床など」
・福島県 復興ビジョン(福島県 公式HP)
・事業仕分けとは?(1)(構想日本 事業仕分け 公式HP)
・2011.9.13小松秀樹「東北メディカル・メガバンク構想の倫理的欠陥」(MRIC by医療ガバナンス学会 vol.268)
構想日本「自治体の事業仕分け」 仕分け人
医療法人鉄蕉会(亀田メディカルセンター)経営企画室
押元朋子
33.iPadアプリに東京女子医大の医師20人が制作協力したスライド一挙500点登場
~全国の医療現場のインフォームドコンセント支援~
◆スライドを搭載している「ライブラリ」
※現在は専用iPadアプリ以外では使用できないようです
◆「ライブラリ」を使えるiPadアプリは
34.プレスリリース
1) Imaging of traumatic brain injury patients swifter and safer with new technology at NIH
2) NIH-funded study connects gene variant to response to asthma drugs
3) FDAがVerax血小板PGD検査を血小板輸血の「安全対策」として承認
4) ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ(R)」日本において関節リウマチにおける関節の構造的損傷の防止に関する効能・効果を追加申請
5) Avastinとpemetrexedの併用は肺がん患者さんの無増悪生存期間を統計学的に有意に延長する
6) 抗悪性腫瘍剤「アバスチン®」「手術不能又は再発乳癌」に対する効能・効果、用法・用量の追加承認取得
35.Other Topics
1) アマゾン、仙台にコールセンター 1000人雇用で復興支援
日本経済新聞社2011年9月27日
インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・渋谷)は仙台市内に年内にも1000人規模を雇用するコールセンターを開設する。同社のジャスパー・チャン社長が27日午後に仙台市の奥山恵美子市長を訪ねて立地表明書を提出する。東日本大震災の被災地では雇用問題が深刻になっている。拠点開設で復興を支援する。
アマゾンが開設するのは「カスタマーサービスセンター」と呼ばれる顧客からの電話やメールの問い合わせに受け答えする施設。日本では2001年、札幌市に極東初のセンターが開業した。札幌では約500人が勤務している。仙台では約2倍の人数を雇用、同社として日本最大の拠点とする。
被災地では企業による雇用創出の動きが活発になっている。家具専門店のイケア・ジャパン(千葉県船橋市)は26日、東北初進出となる小型店を仙台市内に開業し、約20人を雇用した。たこ焼きチェーン「築地銀だこ」を運営するホットランド(群馬県桐生市)は11月に宮城県石巻市に本社を移す。ワタミは12年2月をめどに岩手県陸前高田市に約100人を雇うコールセンターを設ける予定だ。
2) ダイエットに失敗する人を減らすため 今後、成功に導くソリューションを強化
企業の成長は社員の健康から ITで「はかる」を管理し付加価値向上 ミリオンセラー「体脂肪計タニタの社員食堂」の舞台裏 --- タニタ 代表取締役社長 谷田 千里 氏
IT Pro2011年9月27日
家庭用ヘルスメーターを当社が発売したのは1959年のことだ。その後、体脂肪計や体組成計なども手掛けるようになった。その当社のITとの関わりの1つが会員制健康管理サービス「からだカルテ」だ。体組成計や血圧計、歩数計などには計測データを送信できるものがある。インターネットを経由し、そのデータは当社が運営するデータベースに取り込まれ、会員の健康情報として時系列でグラフ化され、会員は携帯電話やPCからいつでも見られる。
社員食堂の健康レシピを紹介 書籍化し225万部の大ヒット
からだカルテでは、様々な健康関連情報も得られる。その1つ「モバイルタニタ食堂」は、当社の社員食堂のメニューをまとめた料理本「体脂肪計タニタの社員食堂 500kcalのまんぷく定食」のレシピを携帯電話で閲覧できるサイトだ。この料理本は、当社の社員食堂がテレビ番組に紹介されているのを見た出版社からの提案で書籍化した。シリーズ累計の部数は8月9日時点で225万部を超える。
人気を博した理由は、特別なことをせずに体重を自然と落とせる点にある。外食など普通に食事をすると、1食あたりのカロリーが800~900kcalに達するが、本の副題のように当社の社員食堂なら平均500kcal。1食あたり300~400kcal低く、1カ月では6600kcalを減らせる。実は、脂肪を1キロ落とすには約7200kcalの消費が必要で、ランニングなら12時間の走行、食事ならご飯45杯分に匹敵する。
この料理本をきっかけに様々な業種・業界とのコラボレーションが生まれ、事業の幅が広がった。ローソンと健康志向のお弁当やお惣菜を、森永乳業とはカロリーを抑えたプリンを、理研ビタミンとはレシピ本をベースに同社の商品を使った新しいメニューをそれぞれ共同で開発した。また、カゴメとは昨年末から年始にかけて、忘年会や新年会で生活習慣が乱れがちになるため、健康レベルがチェックできる期間限定のWebサイトを開設した。
ITとの関わりでは、2008年12月にWeb上の動画配信サービス「ニコニコ動画」で初の公式コミュニティーを開設した。私が社長に就任したのはこの年の5月。タニタのブランドは中高年層には認知されていたが、若年層の間ではあまり浸透していなかった。私自身がメッセージを伝えたほか、動画で商品を紹介すると大きな反響を得た。規模がそれほど大きくない企業でも、使い方しだいで営業やマーケティングなどで効果を得られることを実感した。
メタボ対策として実施したタニタ健康プロジェクト
健康関連商品を扱う当社は福利厚生の一環として、社員の健康管理にも力を入れる。2009年1月から続けている「タニタ健康プロジェクト」はその1つだ。対象にしたのは本社に勤務する300人ほどの社員。プロジェクトのきっかけは、生活習慣病の予備軍であるメタボリックシンドロームの人を早期発見し、対策を講じることを目的として、2008年4月から始まった特定健康診査・特定保健指導である。
当社のからだカルテを活用し、参加者全員に歩数計と、からだカルテのIDとパスワードを配り、3~4人に1台の割合で体組成計を用意した。毎日の歩数を記録し、週に1~2回の割合で体組成計で体重や体脂肪率などを計測する。
結果をみると、参加者の多くが体重や体脂肪を減らすことができた。タニタ社員限定の歩数を競うイベントなどが功を奏し、2009年度と2010年度の参加率は高かった。しかし、課題もある。特定保健指導の対象となって個別指導プログラムを受けた社員の中には、体重や体脂肪率が元に戻っていたり、リバウンドで逆に増えていたりした人もいた。2011年度は、配布する機器を一新したうえでメタボゼロを達成するための新たな取り組みを始める。
ダイエットソリューションで摂取と消費のバランスをはかる
ダイエットの成否の鍵を握るのは摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスだ。この2つをコントロールできれば、ダイエットは成功する。しかし、現実にはダイエットに失敗している人が多い。
これまで当社は体重や体脂肪率などの体組成をできるだけ正確に計測する商品の提供に取り組んできたが、今後はダイエットを成功に導く「ダイエットソリューション」の提供に力を注ぐ方針だ。先の料理本の出版もその一環である。レシピ本を参考にすれば、エネルギーを摂取しすぎることはない。
最近発売した「ダイエットスケールKP-105」は摂取エネルギーをコントロールするためのものだ。間食の摂りすぎでエネルギーを摂取しすぎダイエットに失敗する人は多い。ダイエットスケールは携帯電話とそん色ない大きさと重さ。どこにでも持ち運べ、あめ1個、チョコ1個の重さもはかれ、間食による摂取エネルギーを計測できる。
また、開発中の「ダイエットチェッカーQM-300」も摂取エネルギーをコントロールするものだ。尿中の糖分を計測することで、食べ過ぎの判定ができる。今年正月の新聞で200人のモニターを募集したところ、ネットでの応募に限定したにもかかわらず1万人を超える応募があり、反響の大きさに驚いている。
消費エネルギーをコントロールするソリューションも用意している。活動量計「カロリズム」がそれだ。これを身に着けて生活すると、すべての動きをもとに1日の総消費エネルギー量を算出し、それを液晶パネルに表示する。消費エネルギー量を高い精度で計測するには、これまでヒューマンカロリーメーターという大がかりな装置が必要だった。この装置の中に人間が入り、活動量を計測する。カロリズムはこれとほぼ同じ精度で計測できる。
当社の基本理念は「我々は、『はかる』を通して世界の人々の健康づくりに貢献します」というものだ。病院で使われる医療機器を転用し、糖尿病の予防を狙った尿糖計ユーチェック「UG-201」のほか、寝たままで腹部の脂肪率・内臓脂肪レベル・腹囲を計測できる腹部脂肪計「AB-140」、睡眠の状態と眠りの深さやリズムをはかるスリープスキャン「SL-501」、業務用マルチ周波数体組成計「MC-980」といった医療や介護・福祉、教育現場で使われる商品もある。今後も独創的なアイディアで優れた商品とサービスを提供していきたい。
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