2012年5月4日金曜日

世界一周旅行記 : アフリカにおけるマラリア対策(マラリア予防薬、治療薬)についてのまとめ - Livedoor Blog(ブログ)


エチオピアの地方都市コンソでマラリアを疑う突然の高熱が発症。高度な医療機関がある首都アディスアベバまで最低2日かかる場所でマラリア対策をしていなかった自分はかなり焦った。結局マラリアでは無かったがアディスアベバでマラリア対策勉強および薬剤の購入をしたのでその内容をまとめてみた。

マラリアとは

ハマダラ蚊により媒介される感染症。主に4種に分けられ熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形マラリアがある。

いずれのマラリアも7日から1ヶ月の潜伏期間がある。始めは微熱や頭痛といった風邪に似た症状に始まりその後38度5分を超える(通常は40度を超える)高熱が出て戦慄、寒気、手のシビレ、激しい頭痛、関節痛、吐き気、下痢などの症状が出る。熱帯熱以外のマラリアの場合この症状が数� �間続き大量の発汗とともに解熱する。三日熱の場合は48時間毎、四日熱の場合は72時間毎にこの症状を繰り返す。卵型の場合はおよそ50時間ごと、熱帯熱の場合は規則性が無いケースが多いが36−48時間周期の場合がある。

特に注意が必要なのは熱帯熱マラリアで発症してから急速に重篤化し脳マラリアに移行すると意識混濁に陥り、黒水熱に移行し黒い尿が出るようになると死に至る。熱帯熱マラリアの場合発症後24時間以内に治療を開始できるかが一つの鍵となる。他のマラリアは死に至ることは少ないが3回目の発作が出るまで治療を怠ると重症化、慢性化することがある。

三日熱、卵形熱マラリアの場合は治療後も肝細胞内で休眠型となり長期間滞在し再燃することがある。

予防法

ハマダラ蚊は壁に� �まる際後ろ足を跳ね上げた状態で止まるのですぐ分かる。ただしアフリカ地域で見る蚊の多くはこのハマダラ蚊。汚染地域でも実際にマラリア原虫を持つ蚊は1%以下と言われている。

予防は蚊に刺されないこと。ハマダラ蚊は夕方から夜間にかけて吸血活動をするのでその間蚊に刺されないように注意する。

ハマダラ蚊は白い服を嫌い黒い服を好む傾向にあるので白い服を着る。肌を露出させないよう長袖長ズボン、靴下も履いて行動、就寝する。薄着だと服の上から刺すので薄い靴下や体に密着した薄い服は着ないなど工夫が必要。シャツはズボンの中に入れ、ズボンの裾は靴下の中に入れる。この格好で外に出歩くと地元民に笑われるがマラリアになるよりマシ。またこれは南京虫やノミなどが服に入るのを防止する効果� ��り。

しかしこれでも手や顔に容赦なく攻撃を仕掛けてくる。只でさえ暑い地域で長袖長ズボン、靴下を履いて寝るのもつらいのに手袋をして寝ることなど出来ないし増して覆面をして寝るわけにも行かない。一応防虫剤を体や服にかけて寝るがこれでも刺されるときは刺される。


DR 。

一番効果があるのは蚊帳を張ること。蚊の多い地域では蚊帳を張った宿も多い。蚊帳の無い宿の場合は自分で持ち込み張ることになるが数日滞在なら良いが一泊しかしない場所で蚊帳を張るのは正直面倒。さらに蚊帳を張ると中がこもって暑苦しい。実際アフリカで蚊に全く刺されずに過ごすと言うのは不可能に近いと思われる。

マラリア予防薬と治療薬

薬局でマラリア予防薬を欲しいときはAnti-Malaria Medicineで通じた。治療薬はMalaria treatment Medicineで通じた。治療はスタンバイ治療(Standby Treatment)のためと伝えた方が良い。スタンバイ治療とはマラリア発症時近くに高度な医療施設がなく医療施設に移動するまでの間自己判断で治療開始すること。薬名は通り名を使用、右の()内は製薬会社の付けた薬品名。薬局では通り名で通じる。

コアルテム Coartem
比較的新しい薬で耐性マラリアが無く(数年前カンボジアでこの薬が効かないマラリアのニュースが出ていたがアフリカではそのような話は出ていない)WHOでもスタンバイ治療のトップに推奨。大使館でもこの薬を勧めるケースが多い。実際この薬を飲みマラリアを治したというレポートも多く信頼性が高い。値段も手ごろでスタンバイ治療薬として常備しておきたい薬。この薬はあくまで治療薬で予防薬としては使用できない。

エチオピアの薬局では8割くらいの店で置いてあった。値段は110ブルから147ブルまでと値段の幅が広い。(1ブル約5円)この薬は有効期限が2年と比較的短く値段の差は期限により違うようだ。中には今月で有効期限切れる薬を置いている薬局もあり購入の際は必ず期限を確認のこと。(ほかの� �もそうだがこの薬は特に)

使用方法 マラリア発症から24時間以内に1回目4錠、8時間後4錠、その後2日目、3日目と一日2回4錠ずつ服用。脂肪分と一緒に摂取すると吸収が良い。グレープフルーツは禁忌。

メフロキンMefloqine(ラリアム、メファキン、エロキン)
アフリカの旅行者には一番有名かつ一般的な薬。主に予防薬として使用。1週間に1錠のみの服用と扱いが楽。しかしこの薬副作用が強いことでも有名。服用者のほとんどが不眠、悪夢などの精神的な副作用を煩っている。数年前海外に派遣されマラリアの予防薬を服用した自衛隊員に自殺が相次いだという報道がなされていたがその薬がこのメフロキン。

しかしアフリカで主流の熱帯熱マラリアに有効な予防薬の選択肢は少なく効果の少ない他の薬を飲むか我慢してこの薬を使うか予防薬を飲まず対処療法にするか悩ましいところ。


不況時代の出稼ぎ労働者

治療時キニーネ、クロロキン、ハロファトリンなどとの併用は不可。狂犬病ワクチンに対する免疫応答阻害の可能性あり。東南アジアではメフロキン耐性マラリアの発生報告があり、最近西アフリカでもメフロキン耐性熱帯熱マラリアの報告が出ている。実際アフリカでメフロキンを予防服用していながらマラリアに罹ったという話も複数聞いている。

エチオピアの薬局ではほとんど置いておらず2件だけ置いてある店があった。値段は6錠で104ブルから126ブル。自分はアディスアベバのGPO(中央郵便局)近くのInterntionalPharmacyで購入。薬名はEloqine、1箱6錠入り104ブル。もう一つの薬局はばら売りで6錠126ブルだった。日本でも処方薬として購入可 能だが1錠850円から2000円+診察料と非常に高額。

使用方法
予防として利用する場合はマラリア感染地域に入る1週前から週に1錠ずつ服用。感染地域離脱後4週まで服用を続ける。長期使用は神経や肝機能障害の危険があるので最大連続服用は12週までとされる。

なおこの薬の副作用は服用開始3週目までに出ることが多いため時間があれば3週前から服用を始め様子を見ることを望ましい。副作用が強い場合はエリアに入る前に他の予防薬に切り替える。飲酒をすると鬱などの精神性福作用が強く出るため服用期間中(服用した日だけではない)酒は飲めない。旅行者の多くが副作用を訴えているが禁酒を守っていないことが要因の一つのような気がしなくも無い。

治療薬として使用する場合は体重60キロ未満の成人1回目3錠(1錠250mg)、6-8時間後2錠、60キロ� �上の成人はさらに6-8時間後に1錠を服用。(エロキンの場合。製造会社により微妙に服用方法が違うので説明書、医者の指示に従った方が良い。)
キニーネ、クロロキン、ハロファトリンと併用不可

マラロンMalarone
新しい薬でマラリア4種に効き、目だった副作用も無く、耐性マラリアの報告も無い。しかも予防薬にも使えるという夢のような薬。それなら予防にも治療にもこれを使えばと思うが世の中そんなに甘くない。ネックは値段。一回治療分12錠で70−100ドルと言う日本人でも躊躇するような値段がする。エチオピアではとても現地の人が買えるような値段ではなく(エチオピアのGDPは未だに100ドル以下)現地の薬局でも置いてあるところは無く聞いても何それ?という反応だった。日本では一部トラベルクリニックで購入可能らしい。1錠850円〜。

使用方法
予防の場合マラリア感染エリアに入る前1-2日前より服用開始。その後毎日1錠ずつエリアを出て7日後まで服用を続ける。治療の場合は1日1回4錠を3日続ける。


素数の喜びの減量

ファンシダールFansidar(GOMAL Pyralfin)
現地ではマラリア治療薬として一般的な薬。マラリア4種に有効だが熱帯熱マラリアでこの薬の耐性が出てきている。現地の病院ではこの薬を処方されることも多い。以前は予防薬としても使用されていたが予防薬として使用すると重篤な副作用が発症する(実際に日本人がこの薬を予防薬として服用し失明したニュースが一時話題になった)とのことで今は予防薬として使用されない。しかし一部薬局ではこの薬を予防薬として紹介したり、取扱説明書にも予防薬としての服用方法が記載されていたりするので注意が必要。

エチオピアでは半分くらいの薬局で置いてあり一般的な薬のようだ。治療1回分の3錠で4−8ブルと非常に安い。現地の人にとってはコアルテムでも高価すぎるのでこの薬を使用する人が多いのではないか� ��思われる。

使用方法 
1回目2錠、翌日1錠というのが一般的な服用法のようだが製薬会社によって1度に3錠だったりするので事前確認が必要。
クロロキンとは併用不可。

ドキシサイクリンDoxycycline(ビブラマイシン)
抗生物質の薬剤。予防としても治療としても使用可能。日本ではクラミジアやニキビの治療薬として一般的。細菌性疾患に効く抗生物質なのでコレラや赤痢などにも有効。万能薬で便利そうだが病気、症状や体格で投与量、期間が異なり中途半端な服用は耐性菌の発生につながり、過剰摂取は自身の体に悪影響を与える。(抗生物質が効かない体になるなど)一部には30日以上の予防摂取は控えるべきとの記述もあった。

エチオピアでは一般的な薬剤でほとんどの薬局に置いてある。1錠100mg×10錠で7−10ブルと格安。しかし抗生物質として置いてありあまりマラリアの薬と言う認識が無い店員も多かった。

使用方法
予防として服用する場合はエリアに入る2日ほど前から1錠(100mg)を服用。エリアを出てから4週まで毎日1錠ずつ服用する。前述のように長期服用は問題があるため長期使用の際は医師に相談した方が良い。またこの薬を飲むと太陽光に対する感受性が高まり日焼けを起こしやすくなる。日光の強いアフリカではこれが問題となる。日焼け対策、薬の血中濃度が上がる時間を夜間にするため夕方に服用するなどの工夫が必要。

治療にはこの薬を単独で使用せずキニーネなど他のマラリア治療薬と併用して服用する。シロートが自己判断で治療服用しないほうが良いと思う。

キニーネQuinine(エビス)
昔からあるマラリア薬。新薬の出現により一時使用されていなかったが他の薬に対する耐性マラリアの出現によりこの薬を併用して使う機会が多くなった。病院では耐性マラリアの治療としてこのキニーネと前述のドキシサイクリンの併用投与されることがある。


エチオピアの薬局ではこの薬を置いてあるところは聞いた限り無かった。(この薬を買う予定は無かったので一部の薬局でしか聞いていない)
メフロキンと併用不可

クロロキンCloroquine(ニバキン、アラレン)
キニーネの後に開発されたマラリア薬。一時は特効薬として多用されたが今ではかなりの熱帯熱マラリアが耐性をもってしまったため熱帯熱マラリアが多数を占めるアフリカでは使用効果が薄い薬。しかしエチオピアではマラリアの薬として大抵の薬局に置いてありマラリアの薬あるかと聞くとこの薬を出すところもあるので注意が必要。

ただし熱帯熱マラリア以外が主流の地域ではクロロキンが有効。予防の場合エリアに入る1−2週前より300mgを週一度、エリアを出て4週目まで服用する。治療の場合は初回600mg、6,24,48時間後に300mgずつ服用する。

クロロキン耐性マラリアがいる可能性がある場合はプログアニル(パルドリン)を併用することで効果がある。予防の場合はクロロキンの服用に併� ��エリアに入る1−2日前からエリアを出る4週目まで一日200mgを服用。治療の場合はクロロキンと併せ1日5−10mg/kgを3回に分けて服用。

クロロキンは買う気が無かったので値段は聞いていないが多分かなり安いと思われる。
ファンシダール、メフロキンと併用不可

尚クロロキンは一定量の服用を超えると視野狭窄などの視覚障害が起きる可能性がある。日本でも一時腎炎やリウマチの薬として処方され障害が多発。薬害事件となっているので注意が必要。

サヴァリン
予防薬として使用される薬。アフリカでは熱帯熱マラリアがこの薬に耐性を持つためあまり利用価値が無い。三日熱マラリアが主流の南米などではこの薬が予防薬として有効。一部アフリカ旅行者でこの薬を服用している人がいたが副作用の問題でメフロキンが服用できないなどの理由が無ければ推奨されない。

購入予定が無かったのでエチオピアの薬局での扱いは不明。

使用方法
エリアに入る1週前より1日1錠、エリアを出て4週後まで服用を続ける。治療薬としては使用しない。

その2へ続く



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